県内で昨年1年間に発生した火災は前年比322件増の1143件(速報値)に上り、過去10年間で最多だったことが12日、県消防課のまとめで分かった。下草火災などを含む「その他」が前年の1・9倍の516件、林野火災が3倍の66件に上り、全体を押し上げた。 長野地方気象台によると、県内は昨年春ごろ、例年に比べ乾燥して風が強い日が多かったとしており、消防課は下草、林野火災が急増した要因とみている。今年もせん定枝のたき火や野焼きの多い時期を迎え、同課は注意を呼び掛けている。 火災の種類別で「その他」に次いで多かったのは建物火災で前年比28件増の471件だった。 出火原因の最多は「たき火」で238件。野焼きなどの「火入れ」が92件で続いており、下草、林野火災の急増と連動している。大規模な火災としては、昨年4月、諏訪市郊外の霧ケ峰で約220ヘクタールを焼く火事があった。 このほかの原因では、放火や放火疑いが91件、たばこが58件、コンロが51件などだった。 火災による死者は前年比2人増の42人で、うち65歳以上の高齢者が30人と全体の7割余りを占めた。逃げ遅れて死亡した人は前年比2人減の15人いた(年代は不明)。昨年3月末には、上田市真田町長(おさ)の畑で起きた下草火災で90代の女性が火に巻き込まれ死亡している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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