祭りのにぎわい、川のせせらぎ、稲刈りの音、霜を踏んで歩く音…。茅野市美術館は16日から23日まで、「諏訪地方の音」をテーマに市民らから募った千余りの音源を使い「音の展示」やコンサートを楽しむイベント「音風景の可能性」を開く。何げない日常の「音」から地域を見つめ直すユニークな試みだ。 同館は2008年度から12年度にかけ、地域の音をテーマにしたワークショップ(参加型講習会)を計20回開催。参加した人に録音機を貸し、さまざまな音を持ち寄ってもらった。集まった音源は計1017。豆腐店のラッパや黒曜石が割れる音といった変わり種もある。 今回は「音風景」と名付けた一連の音源を活用。16~23日に美術館企画展示室で開く「音の展示」は、室内のスピーカーから多彩な諏訪地方の音が流れ、照明の効果と合わせて一つの「風景」を演出する。16日午後3時からは、京都市を拠点に活動するダンスグループ「モノクロームサーカス」の上演もある。 23日午後1時半からは茅野市民館マルチホールで、国内外の作曲家4人が「音風景」の音源を使って創作した音楽作品を初上演。同日午後4時からは同じ場所で、音環境デザイナーの庄野泰子さんや日本文化デザインフォーラム理事長の水野誠一さんらによるシンポジウムがある。 期間中、市内などの協力店舗では「音風景」を録音したCDを流す。担当者は「5年かけて集まった音を聞くことで、地域の新たな魅力に気付いてもらえると思う」と話す。各イベントは無料。問い合わせは市美術館(電話0266・82・8222)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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