信州大の研究者らでつくる「信大震動調査グループ」(代表・小坂共栄信大特任教授)は14日、松本市内に活断層の可能性の高い未知の大規模断層が少なくとも三つあることを明らかにした。微小振動(微動)の伝わり方を調べて地下構造を探査。市街地一帯の地盤の軟らかさをまとめた「揺れやすさマップ」も作り、松本駅周辺が揺れやすいことを示した。共同調査した市は今後の防災に役立てる。 新たに推定されたのは、糸魚川―静岡構造線活断層帯の一部「松本盆地東縁断層」の県松本合同庁舎付近からさらに南へ延びる断層、松本城の西側を通る「松本断層」の薄川以南に少なくとも6キロほど延びる断層、新村、和田地区を縦断する断層。最も西の新村などを通る断層は、同グループが来年度調査を始める予定の大町市や、塩尻市に延長する可能性があるという。 いずれも2011年6月30日に市内で最大震度5強を観測した地震の原因とされる活断層や、牛伏寺断層よりも規模が大きい。ただ、断層の総延長や、地震発生周期などは分からず、被害想定には至っていない。 松本盆地には砂利などの層が堆積し、その下の地盤構造は分かっていなかった。微動を高感度地震計で観測するなどし、規模が大きくない断層も複数推定できた。 14日に市役所で会見した信大理学部の原山智教授(地質学)は「11年6月の地震より規模の大きな断層があるとみられることは驚きだ。周辺各市に理解を得て今後の調査が必要だ」と指摘する。 「揺れやすさマップ」は、同グループと松本市が共同で12~13年度、県や市から収集した約2千カ所のボーリングデータを解析した。 小坂特任教授は「今後の防災を考える上で有効なデータをまとめられた」。市危機管理部の青木敏和部長は「市ホームページで公開する。市民に自分の住む場所の地盤を知ってほしい」としている。 調査結果は16日午後1時半、同市Mウイングで開く市民向け防災セミナーでも報告する。(長野県、信濃毎日新聞社)
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