第77回信毎健康フォーラムが22日、「妊娠と不妊の疑問に答えます」をテーマに、松本市のキッセイ文化ホール(県松本文化会館)で開かれた。信濃毎日新聞社と信毎文化事業財団主催。社会面連載「温かな手で―出産を支える社会へ」につながる内容で、不妊治療を受けている夫婦や医療関係者ら約230人が参加した。 信州大病院生殖医療センター(松本市)の岡賢二・副センター長は、性感染症や子宮内膜症が不妊につながることや治療法を説明した。いろいろな生殖補助医療を順番に試すより、「検査をしっかりして、ポイントを絞って治療するのが(妊娠の)一番の近道」と主張した。 椎名レディースクリニック(飯田市)の胚培養士、座光寺真紀技師長は、高齢になると卵子の数や質が低下すると指摘した。体外受精などの生殖補助医療は万能ではなく、「医学が発展しているからいつでも妊娠できると安心しないで」と訴えた。 不妊を経験した人たちが互いに支援し合うNPO法人Fine(ファイン、東京)の松本亜樹子理事長は、自身の体験を語った。不妊と向き合えた理由について「何でも話せる仲間がいて、信頼できる医療スタッフと納得のいく治療ができた」と説明。子どもがいなくても「不幸のどん底ではない」とし、「ハッピー(の形)は一つではない」と呼び掛けた。 飯島裕一・本社編集委員の進行によるパネル討論では、病院の選び方や、妊娠しやすい体づくりについて、講師が意見を述べた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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