安曇野市やあづみ農協(本所・安曇野市)などでつくる市農業再生協議会は26日、リンゴの新品種「シナノホッペ」と「シナノプッチ」の実証栽培を同市堀金烏川の南安曇農業高校第2農場で始めた。生育の様子を記録し、市内農家が導入するか判断する際の参考にする。再生協議会と南安曇農高の連携事業と位置付け、栽培は同校の教諭と生徒が担い、生徒の職業教育にも活用する。 新品種はともに県果樹試験場(須坂市)が開発した。再生協議会によると、シナノホッペは主力品種のふじより果実が赤く色づきやすく、温暖化による着色不良の対策になる。シナノプッチは果実がテニスボールほどと小さく、少人数の家庭向けや皮をむく手間が省けるなどで新たな需要が見込める。収穫時期はつがるとふじの間の9月中旬~11月上旬。ただ、リンゴ産地の市内農家が栽培品目に加えるには需要や流通の面で不安があるため、再生協議会で検証することにした。収穫までは4年ほどを見込んでいる。 この日は第2農場で再生協議会の職員と同校生徒がシナノホッペ4本、シナノプッチ3本の苗木を植樹した。同校グリーンサイエンス科1年の竹野優斗君(16)は「見たことのない品種で楽しみ。実がなる前に卒業してしまうが、後輩に引き継げるようしっかり管理したい」と話した。 再生協議会は農業後継者育成のため「職農教育」にも取り組んでおり、1月には職員が同校で果樹栽培や販売について講義した。新品種の実証栽培では、労力を減らして単位面積当たりの収量を上げるため、葉の数や枝の伸び具合などを確認しながら栽培。販売時の宣伝の仕方も生徒を交えて考える。 再生協議会事務局は「栽培に携わった生徒が将来リンゴ農家になってくれるといい」と期待していた。実証栽培をきっかけに再生協議会と同校は来年度、連携協定を結ぶ予定だ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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