ことし8月に北海道で起きた白菜の浅漬けを原因とする腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒事件を受け、県と長野市が浅漬けを製造する県内の計84施設を立ち入り調査した結果、6割余りの56施設で原材料を殺菌していなかったり、殺菌が不十分だったりしたことが13日、分かった。他に原材料の保管、販売記録など、製造、販売の過程で国の基準に適合しないケースも見つかり、県と市は既に該当する施設に改善を指導した。 県健康福祉部と長野市保健所によると、立ち入り調査は集団食中毒を受けた国の求めに応じ、10月までに実施。県は76施設、同市は8施設を対象とし、殺菌工程の他、「原材料の低温保管、汚染防止」「専用器具による適切な洗浄、消毒」「添加物の適正使用」など22項目を調べた。 県、市による指導は、殺菌工程に関する内容が最も多く、県が調査したうち50施設(65・8%)、市が調査したうち6施設(75・0%)=グラフ。県が調査した中では33施設が原材料を殺菌しておらず、17施設は殺菌濃度や時間が不十分だったり、記録がなかったりした。 国は集団食中毒を受けて、10月に漬物に関する衛生規範を改正。改正前の規範には原材料の野菜の洗浄、殺菌の具体的な基準はなかったため、今回の多数の指導につながったとみられる。 一方、従業員の健康状態などの衛生管理をしていないところが29施設、衛生教育をしていないところが27施設で、規範で努力義務としている製品の自主検査は23施設が実施していなかった。 これらを含め、衛生管理面などで何らかの指導を受けた施設は全体の9割に上った。県食品・生活衛生課は「改正された規範に従い、製品を管理してほしい」としている。 厚生労働省食品安全部監視安全課によると、全国調査の結果は集計中で、10月の中間まとめの段階では、86・6%が殺菌工程に関する指導対象となった。(長野県、信濃毎日新聞社)
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