昨年4月に新潟県妙高市のJR信越線で長野発の普通列車が脱線した事故について、運輸安全委員会(後藤昇弘委員長)は28日、事故調査報告書を公表した。脱線原因は「斜面で発生した土砂崩壊によって線路内へ流入した土砂等に列車が乗り上げた」可能性が高いと指摘。土砂崩壊は、線路西側の高台から雪解け水などが斜面上部に流れ込み、地盤が破壊された可能性が高い―とした。 事故は昨年4月6日午後8時34分ごろ、信越線妙高高原―関山間で発生。長野発直江津行きの下り普通列車(6両編成)1両目の左右の2輪目までが脱線したが、乗客25人と乗務員2人(運転士と車掌)にけがはなかった。 報告書によると、JR東日本が所有する線路西側の斜面表面が幅約8メートル、高さ約12メートル、深さ約60センチにわたって崩れた。崩れた土砂量は約30立方メートル。斜面の西側は、線路より10メートルほど高い農地で、妙高山に向かって標高が高くなる。平年より多く積もった雪が気温上昇と雨で急激に解け、「斜面の上部は水浸しの状態になっていたと考えられる」とした。 JRによる斜面の定期検査の記録などから「(土砂崩壊を)事前に把握することは困難」「斜面は適切な管理が行われた」とした。JRは既に現場の斜面にコンクリート製格子枠工事をし、排水設備を増設しており、同委員会は取材に「現場の再発防止策は取られていると考えている」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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