県内私立4高校で新たに発覚した、免許外の教科を教えさせた教育職員免許法違反について、県は28日、免許制度の認識不足や、ずさんな管理監督が背景にあるとの見方を示した。学校法人「才教学園」(松本市)で昨年発覚した人件費削減などを目的とする組織的な違反事件とは性質は異なるものの、県は「免許法への認識の甘さは問題」(情報公開・私学課)として、県内私立各校に注意を促す通知を出す方針だ。 県情報公開・私学課や各校によると、4校のうち佐久長聖(佐久市)、松商学園(松本市)、飯田女子(飯田市)は、免許外の教科を教える際に必要な「免許外教科担任許可」の申請をしていなかったり、手続きが滞ったりしていた。校長ら管理者の確認作業も不足しており、佐久長聖では授業編成の担当教員が教員の免許の所持状況を把握していなかったという。 創造学園(松本市)では、教員免許を持つ人を採用できない場合に原則3年の期間限定で与えられる「臨時免許」を持った教員の免許更新を怠っていた。 県情報公開・私学課の久保田俊一課長は「制度の認識も、管理監督も甘い」と指摘。4月中に、免許制度の認識や教員と管理監督者の意思疎通を徹底するよう県内全私立校に文書で通知する。県教委によると、県内の公立学校では違反はないという。 飯田女子のPTA会長の林琢男さん(45)=飯田市=は「どの資格を持った教師が何を教えているのかを学校全体で把握し、再発を防いでほしい」と話す。免許を持たない男性教諭から授業を受けた子どもを持つ飯田市の会社員男性(49)は「子どもが楽しみにしていた授業の先生だったので、ショックを受けていた。チェック体制を強化してほしい」と話していた。 子どもが佐久長聖に通う佐久市の公務員男性(47)は「補助金が関係するので、適正な処理をしてほしい」。 県私立中学高等学校協会(事務局・長野市)会長の猪熊啓司・長野俊英高校長は、「県内私学では必要な免許を持つ教員をなかなか採用できない状況にあるが、私学への信用にも関わるので、免許制度の手続きや確認は正確を期さなくてはならない」と述べた。 文部科学省教職員課によると、手続きを怠るなどによって違反となった事例は全国でもあり、静岡県で1月までに、5市の公立中学校6校で臨時講師6人が免許外の教科を指導していたことが発覚した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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