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天台座主までの歩み、自伝出版 上田出身・半田孝淳さん

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 上田市別所温泉出身で天台宗(総本山・比叡山延暦寺)座主の半田孝淳(こうじゅん)さん(96)の自伝「和顔(わげん)愛語を生きる」が信濃毎日新聞社から出版された。別所温泉の常楽寺で生まれてから天台座主となるまでの生き方を通して「人生に悩む人のヒントになればうれしい」との思いを込めた内容だ。作家司馬遼太郎さん、版画家棟方(むなかた)志功さん、大相撲の九重親方(元横綱千代の富士)らとの交遊録もある。  半田さんは1917(大正6)年生まれ。旧制上田中(現上田高校)、大正大(東京)を卒業し、常楽寺で61(昭和36)年から2004年まで住職を務め、その後は名誉住職。07年に第256世天台座主に就いた。2012年4月から今月末まで、全日本仏教会の会長も務めている。  自伝は、父親で常楽寺住職だった故・孝海さんとの少年時代の思い出から始まる。孝海さんは「寺は社会のためにあるべきだ」と言い、寺の本堂を小県郡内の青年団に開放し、泊まり込みの講習会を開催。政治学者〓山(ろうやま)政道さんや作家高倉テルさんらを招いた。54(昭和29)年から16年間は寺境内で保育園を運営して園長を務め、園児のおむつを替えたこともあったという。  戦後、原水爆禁止運動にいち早く取り組んだ孝海さんの遺志を受け継ぎ、国内外で機会あるごとに「核兵器のない平和な世の中」になるよう訴えた。1993年、イタリア・ミラノで開かれた「世界宗教者平和の祈りの集い」で唯一の被爆国代表としてあいさつし、賛同の拍手を受けた様子もつづった。  交遊録には8人が登場。それぞれにエピソードがあり、棟方さんは72年に写生旅行でたまたま常楽寺を訪れて気に入り、半田さんに夫婦の戒名を付けてほしいと依頼。いったん断ったものの、熱意に負けて応じたという。  半田さんは近年、体調を崩したこともあったが、現在は元気に執務を続ける。自伝には「Keepsmiling!(いつも笑顔で)」のメッセージも込め、「笑顔を絶やさず、周りの人とけんかをしないで長所を伸ばしていくのが私の生き方。ここまで生きることができ、世の中の全てに感謝です」と話す。自伝は長野市の文筆家北沢房子さん(55)が聞き書きした。256ページ、税別1500円。県内外の書店で販売している。 (〓は、虫ヘンに鬣の髪を取る)(長野県、信濃毎日新聞社)


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