消費税率が1日、5%から8%に上がった。同日未明に新たな税率で支払いをした県民は、3%分の重さを実感。今後の負担増への警戒感は強く、増収分の使い道を注視するという人もいた。 「新税率になりました」。1日午前0時すぎ、長野市中心部のコンビニエンスストア。レジの設定が切り替わり、男性店員が来店客に説明を始めた。郵便局に勤める飯山市の小林靖さん(54)は、帰宅の車内で食べるおにぎりとお茶などを購入。消費税51円を含む695円を払った。「増税は痛いが、食料などは買わなきゃならないから逃れようもない」 松本市筑摩のコンビニを訪れた同市の会社員藤森瑛理香さん(24)は「(税率が)上がったことに気付かなかった。これから財布が寂しくなる」と話していた。 長野市小島田町のガソリンスタンドは、31日深夜まで断続的に給油待ちの車の列ができたが、日付が変わると訪れる車はまばらになった。 31日に買い物をした人たちは、景気回復の実感がないまま、税率が上がることへの割り切れなさを口にした。 上田市の大型商業施設で食品を約8千円分買った埴科郡坂城町の主婦深井恵美子さん(40)は「アベノミクスで景気回復したと言うが、生活が良くなっているとは思えない」。飯田市の家電量販店で掃除機を買い替えた下伊那郡阿智村のパート社員荒井麻由美さん(48)は「収入が増えずに税金が上がっても困る。生活に必要な物は増税してほしくなかった」と話した。 佐久市の中込商店街にある酒販店では、日本酒1本を5%の消費税込みの850円で買った同市のパート従業員臼田真佐子さん(51)が「家計は確実に苦しくなる。10%への引き上げはやめて」。伊那市山寺のガソリンスタンドでタイヤ交換した同市御園の元自営業小木曽保夫さん(79)は、「年寄りには特に厳しいが、国が社会保障に使うと言うのを信じるしかない」と話した。 松本市元町の24時間営業のファミリーレストランで、午後10時ごろまで友人2人と夕食を楽しんだ同市のパート従業員小林路子さん(42)は「家など高額なものと違い、日々消費するものは(増税を)特段気にしない」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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