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十返舎一九の草双紙を復刻 安曇野の文芸誌、来訪200年に合わせ

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 安曇野市などの文芸愛好家の会が発行する総合文芸誌「安曇野文芸」が4月発行の29号で、江戸時代の作家十返舎一九(1765~1831年)の「御法花(みのりばな)」を復刻した。御法花は同市穂高牧の満願寺に伝わる敵討ちの話を基に創作した草双紙(絵入りの大衆読み物)。原本がある国立国会図書館から複製を取り寄せ、会員が現代仮名遣いに改めて転載した。一九が訪れてから200年の節目に、安曇野が題材の娯楽本を広く知ってもらおうとよみがえらせた。  発行元の「安曇野文芸の会」によると、滑稽本「東海道中膝栗毛(ひざくりげ)」で知られる十返舎一九は1814(文化11)年に「続膝栗毛」の取材で安曇野を訪れた。安曇野文芸は昨年春の27号から「一九来訪200年記念特集」を展開中で、これまでに続膝栗毛に安曇野の場面が盛り込まれたことなどを紹介してきた。  同会代表で地域史研究家の中島博昭さん(80)=安曇野市穂高柏原=によると、一九はこの来訪時に満願寺の和尚の依頼で寺の伝説を聞き、16年に御法花を出版。闇討ちに遭った武士の子どもがさまざまな出来事から犯人を知り、敵討ちを果たす物語だ。舞台は安曇野を中心に松本、塩尻、佐久にも広がっている。  国立国会図書館の許可を得て原本の絵を転載。会員の椎名正昭さん(66)=同市豊科=が文章を現代仮名遣いに改め、一部の平仮名を漢字にしたり句読点を加えたりして読みやすくした。さらに安曇野市内の印刷所が、絵の周りに文章を配置する原本と同じ体裁に整えた。  余白には商品宣伝が書かれており、一九が着物やおしろいを紹介。「御求め下され候よう作者より願い上げたてまつり候」などと記している。  「安曇野文芸の会」は一九来訪200年の記念に、より多くの市民に関心を持ってもらおうと市教育委員会と連携。豊科郷土博物館主催で今夏、御法花の読書会を3回ほど予定している。10月発行の30号では、読書会を題材にして掲載する予定だ。中島さんは「一九と安曇野の関わりを知り、作品に出てくる当時の地域の様子を知ると面白い」と話している。  安曇野文芸は年2回発行。A5判で1冊千円(税込み)。安曇野市と松本市に取り扱い書店がある。(長野県、信濃毎日新聞社)


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