下伊那郡大鹿村の住民有志らでつくる「大鹿の100年先を育む会」は3日、野鳥観察に使う巣箱を作った。近く村内のリニア中央新幹線の工事予定地周辺に設置し、ブッポウソウなどの希少種の生態把握に活用する。5月からは巣箱周辺での野鳥観察会を開いていく計画だ。 JR東海が公表したリニアの環境影響評価(アセスメント)準備書によると、大鹿村では大河原地区にリニア路線や作業用トンネルの出入り口4カ所、変電施設などが設けられる予定だ。野鳥に関しては、絶滅危惧種のミゾゴイについて1羽確認したが、工事に伴う改変地域から「相当離れた地域であり、生息環境に変化は生じない」としていた。だが、準備書公表後に村民からは工事予定地周辺でミゾゴイを目撃したという声が上がり、県も3月20日にJR東海に提出した知事意見で影響があることを前提に環境保全措置を検討するよう求めた。 これを受け、育む会はJRの調査を検証する意味も含めて野鳥観測をすることを決めた。 3日、大鹿村鹿塩の木工体験交流施設で開いた巣箱作りには育む会の会員ら16人が参加した。会員たちはスギの木をのこぎりで切り、それをクギでつなぎ合わせながら巣箱8個を製作。巣箱の表面には直径約8センチの穴を開け、鳥が入って休めるようにした。 育む会代表の前島久美さん(32)=大鹿村大河原=は「JR東海の準備書には文献調査を引用した部分も多い。リニア工事で影響を受けようとしている現地を自分たちの目で見ていきたい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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