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レッティ監督 Vの花道 アンカー「恩返し」の激走

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 カナダ人の監督、ビル・レッティさん(48)が胴上げで何度も宙に舞った。第61回県縦断駅伝は18日、全諏訪との激しいアンカー対決を制した上田東御小県が3年ぶり2度目の優勝を果たした。「最後に、最高の結果が出せた」。今大会での監督勇退が決まっているレッティさんは、選手たちと喜びを分かち合った。  上田東御小県は初日の17日、優勝候補の全諏訪に6分18秒の大差を付けてトップに立った。だが、18日は貯金を使い果たして終盤21区で全諏訪に逆転を許し、3位に終わった昨年と同じような展開。周囲は「また駄目か…」と、優勝を諦めかける雰囲気になった。  危機を救ったのは22区のアンカー土屋秀徳選手(34)=シナノケンシ=だった。残り3キロの上り坂で足がけいれんし始めたが、「これで走るのをやめてもいい」と限界まで足を動かした。ゴールの県飯田合同庁舎(飯田市)前では、待ち受ける同僚たちが「早く来い!」「頑張れ!」の叫び声。22秒差での逆転優勝を決め、チームは倒れ込む土屋選手を囲んで涙を流しながら抱き合った。  同選手は5度目のアンカーで自己ベストを出し、初の区間賞も獲得。「監督に恩返しができた」と汗を拭った。  上田市で貿易会社を経営するレッティさんは、旧上田小県時代から選手として12年間走った後に監督に。持ち前の明るい性格で選手を奮い立たせ、就任した2009年の大会から初優勝、2位、3位と、常に優勝争いに絡むチームに成長させた。最近の2期4年の慣例に沿って監督を退く。  「ありがとう、本当に素晴らしかった」「これで(来年からも)大丈夫」。レッティさんはゴール前で選手一人一人の肩を抱き、声を掛けた。  一方、目前で連覇の夢がすり抜けた全諏訪の選手は、ゴール前でしばらく動けなかった。  アンカー高野寛基選手(24)が最初にゴールすると、チームの誰もが時計が進むのを祈った。上田東御小県の初日のリード6分18秒が尽きるまで「あと1分」の声に笑顔が広がって間もなく、同チームの土屋選手が視界に。ライバルのゴールと胴上げをぼうぜんと見詰めるしかなかった。  エース区間17区で、区間賞の走りで大きく追い上げた牛山純一選手(29)は「これが駅伝の魅力であり、難しさ」。小河原義友監督(50)は「目標タイムは上回った。みんないい走りだった」と、選手をいたわって回った。(長野県、信濃毎日新聞社)


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