保存を求める声が出ている、アルピコ交通上高地線の旧新村駅舎(松本市新村)の歴史や価値を学ぶ講演会が10日夜、松本市であった。住民らの「新村駅舎を残す会」が、保存活用への理解を広げようと初めて企画。市文書館の小松芳郎館長が話した。 約30人が参加。小松館長は同駅について、1921(大正10)年に松本―新村間で開業した筑摩鉄道(当時)の本社が近くに設けられたことから「単に古くて珍しいだけでなく、上高地線の中心で発祥の地」と指摘。駅開業後は、周囲に料理屋や銭湯などが次々できたと紹介し、「拠点だったから栄えた。壊すことは簡単だが、現地で残すことに意味がある」とし、「駅で保存されている車両と合わせれば『私鉄の博物館』になる」と活用方法を提案した。 アルピコ交通は3月に新駅舎の利用を始め、旧駅舎は取り壊しを検討。ただ、効果的な活用方法があれば保存の相談に応じるとしている。同会はシンポジウムの開催も予定しており、川久保勝義会長(67)は「理解が広がれば活用のアイデアも出てくると思う」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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