今衆院選は解散から公示(12月4日)までが前回選より短いため、期日前投票を見守る立会人に公募で若者を起用してきた県内の市選挙管理委員会などが、相次いで公募見送りを決めている。期日前投票は公示日翌日からで、準備が間に合わないという。若者の政治への関心を高めようという試みだけに、選管担当者だけでなく立会人経験者からも残念がる声が出ている。 「原発政策や環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の是非など、若者の将来を大きく左右する選挙なのに…」と悔やむのは、茅野市選管の鮎沢英行事務局長。2010年7月の参院選で初めて、20代の市民を期日前投票の立会人として公募し、1人を起用した。その際は市の広報で公募したが、今回は時間的余裕がなく断念。選管として投票率アップも重要課題で「公募を通じ、少しでも若者の投票率を上げる策を講じたかった」ともこぼした。 前回09年の衆院選は、解散から投開票日まで40日。今回は30日と短く、選管職員らは「10日の差は大きい」と話す。10年8月の県知事選で20~30代の立会人を公募して4人を起用した諏訪市や、08年の市長選以降、7回の選挙で公募してきた松本市も今回は断念した。 松本市の担当者は「今は投開票所や人員の確保が最優先で手が回らない」と内情を説明する。ただ、若者が選挙事務に関わることは重要だとして、無投票だったことし3月の市長選で公募し、活動の機会がなかった応募者や、それ以前の選挙の立会人経験者から希望者を募る予定だ。 一方で、厳しい作業日程を縫って公募する選管もある。解散翌日の17日に公募を始めた岡谷市選管によると、公募期間は前回衆院選より8日短い6日間だが、既に20~30代の9人から応募があった。「(公募を)続けることで、若者の政治意識が少しずつ変わってきた気がする」と担当者。10年の参院選で公募を始めた諏訪郡下諏訪町選管も、近く募集を始めるとしている。 一方、長野市選管は毎回、市内の大学や短大などを通じて学生の立会人を募っており、今回も同様に確保したいとしている。 09年衆院選で岡谷市選管の公募に応じた同市出身の大学4年竹花友美さん(23)=東京都=は、「投票所で誰に投票するか悩む人もいて、1票の重みを感じた」と振り返る。投票に来る若者の姿が少ないことにも気付いた経験から、「若者の立会人公募は続けてほしい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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