上伊那郡辰野町辰野中学校の司書上島陽子さんが、授業のテーマに関連した本を紹介する「ブックトーク」の実践成果をまとめ、「授業で役立つブックトーク」を出版した。科目ごとに生徒が興味を持てるよう工夫した18の事例を挙げ、経験のない先生の手引書にもなる内容を目指した。 上島さんは2006年度に同校へ赴任。教科担当の依頼に応じ、学ぶテーマと関連のある本を複数選び、授業で紹介している。社会科や理科で絵本や物語を交えたり、数学では本を基にクイズを出したり、苦手意識を持つ生徒も楽しめるように心掛ける。 例えば、社会科で米国の公民権運動を学んだ3年生には、奴隷として売られながらも奴隷解放のために尽くした女性や、公民権運動を率いたキング牧師を描いた絵本などを紹介。人々が手をつなぐ様子を紙人形で表し、人形に「アメリカ公民権への道」と書き込むなど、視覚に訴えた。 読み聞かせるページも具体的に紹介。本の内容を紙人形劇などにする場合のために、著作物の利用許可申請の記入例も載せた。 ブックトークの成果か、図書館を訪れる生徒も増え、貸し出し数は昨年度、目標の1人平均20冊を超えた。上島さんは「生徒の反応があるのが楽しい。まずはそのまま、まねしてもらえればいい」と活用を呼び掛けている。 少年写真新聞社(東京)刊。B6判、176ページ。1785円。全国の書店で販売している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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