国重要文化財の旧開智学校(松本市)の開校に尽力した永山盛輝(もりてる)(1826~1902年)のひ孫に当たる盛昭さん(68)=東京都町田市=が、盛輝が大切にしていたとされる短刀2本を松本市立博物館に寄贈し、23日、同館から感謝状を受けた。同市は今後、幕末の薩摩藩士でもあった盛輝に関して、文化・観光交流協定を結んでいる鹿児島市を通じて調べ、「学都(がくと)松本」の礎を築いた功績を顕彰し、広く住民に伝えていく考えだ。 同館によると、薩摩藩士の家に生まれた盛輝は、明治新政府で官僚となり1871(明治4)年から75年まで筑摩県の権令(現在の知事)を務めた。同校開校をはじめ教育行政に力を入れており、「『学校権令』とも呼ばれ、学都松本を語る上で欠かせない人物」という。 こうした盛輝の足跡を親族から聞いていた盛昭さん。2カ月前に盛輝の孫に当たる叔母から短刀を譲り受けた。「松本の皆さんに見てもらい、歴史を後世に残してほしい」と同館への寄贈を決めた。 この日、永山家に代々伝わるとされる短刀と、儀礼用の短刀の2本が同館でお披露目された他、盛輝の肖像など関連史料も並んだ。妻の輝子さん(68)と訪れた盛昭さんは「大々的に展示してもらい驚いている。盛輝を身近に感じてもらえればうれしい」。 同館の窪田雅之館長(56)は、旧開智学校開校から140周年を迎える来年度に合わせ「薩摩での業績も含め、記念展を実現する予定」とした。鹿児島市に協力を依頼する考えで「文化面で両市の交流を深めるきっかけにもなる」と期待を寄せた。同館は今月末まで短刀を含む史料を展示し、12月から旧開智学校校舎で常設展示する。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧