小・中学生と高校生が、家族らと新聞記事を読んで話し合った感想や意見を募る「第3回いっしょに読もう!新聞コンクール」(日本新聞協会主催)の中学生部門で、佐久市中込中学校2年の細谷夢子さん(14)=佐久市内山=が最優秀賞(1点)を受賞した。戦争の問題に関心があるという細谷さんは、8月15日付と同22日付の信濃毎日新聞文化面に載った連載記事「子どもの目に映った『731』」を選択。戦争を繰り返さないため、つらい過去であっても戦争体験を語り継ぐことの大切さを訴えた。 昨年10月1日から今年9月14日までの新聞記事を選んで家族や友達に見せ、自分の感想、家族や友達の意見などを専用の用紙にまとめる形式。中学生部門の応募は1万3306点で、細谷さんは「何かの賞をもらえればいいな、というくらいだったのでうれしい」と喜んだ。 「子どもの目に映った『731』」は信濃毎日新聞文化部の畑谷史代記者が執筆。第2次世界大戦中に、旧満州(現中国東北部)で細菌兵器の研究開発を極秘で行った旧日本陸軍731部隊を取り上げた。親が部隊員だった県内の女性2人に、当時の記憶や現在の心境を聞いた。 「生死」「命」がクローズアップされる戦争や死刑制度を深く知りたい、と考えていた細谷さん。夏休み中に記事を見つけ、「夢中で読み進めた。731部隊の名前を初めて聞いたが、捕虜に残酷なことをしていたとは…」と衝撃を受けた。 一方、戦争体験者が語ったことで、戦争を知らない世代が悲惨さを知ることができたと考え、「戦争を繰り返さないために、思い出したくない過去も話してほしい。私たちは戦争体験者を責めるのではなく、耳を傾けていかなければならない」と訴えた。 新聞は母親の勧めで小学6年生の頃に読み始めた。最初は「嫌々だった」というが、徐々に戦争や死刑制度に関する記事を中心にノートにスクラップし、自分の意見も書き込むようになった。今は「読むたびに新しい発見があって、楽しい」と話している。 今回は小、中、高校・高専の各部門に国内外から計2万5864点の応募があり、最優秀賞各1点と、全部門共通の審査員特別賞1点などを選んだ。長野県では他に、千曲市五加小学校5年清水彩音さんと、いずれも田川高校(塩尻市)3年の井戸美咲さん、藤牧愛さん、百瀬文香さんの計4人が奨励賞を受賞。また、田川高校が新聞に触れる活動に熱心に取り組んでいるとして「学校賞」(計10校)を受けた。 コンクールの表彰式は12月15日に横浜市の日本新聞博物館で行われる。(長野県、信濃毎日新聞社)
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