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歌舞伎文化根付かせて 中村勘三郎さん惜しむ声

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 5日死去した歌舞伎俳優の中村勘三郎さんは、2008、10、12年と松本市で開いた「信州まつもと大歌舞伎」に出演。公募の市民キャストが一緒に舞台に上がるなど独自の演出があったり、市民サポーターが開催を支えたりして、市民と交流した。勘三郎さんの人柄に接した市民からは、突然の訃報を悲しむ声が上がった。  松本市との縁は、1994年に現在まつもと市民芸術館(松本市)の芸術監督を務める演出家串田和美さん(70)と東京・渋谷で「コクーン歌舞伎」を始めたことがきっかけだ。08年に串田さんの呼び掛けに応じ、同館で信州まつもと大歌舞伎を実現。コクーン歌舞伎の人気演目「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」を上演した。公募した市民キャスト約80人と共に舞台に上がるなど松本独自の演出を交え、歌舞伎鑑賞が初めての市民も魅了した。  10年に「佐倉義民伝」、ことし7月には「天日坊」を上演し、信州まつもと大歌舞伎は隔年開催が定着。毎回300人を超える市民サポーターが開催を支え、市民と一緒に歌舞伎を盛り上げてきた。  勘三郎さんは10年12月、体調を崩して約半年間休業。療養後初の舞台に松本市を選んだ。「松本が好き」と語ったといい、11年7月には「身替座禅(みがわりざぜん)」を特別公演した。  ことし7月の「天日坊」は、息子で歌舞伎役者の中村勘九郎さん、七之助さんら若手俳優が中心となった舞台。勘三郎さんは千秋楽のみ「サプライズ」で出演し、カーテンコールでは「(療養後)必ず松本に帰ってまいります」と復帰に意欲を見せていた。  串田さんは勘三郎さんの訃報に「あまりにも大きすぎた人だから、彼から託されたものは何だろうと考えると整理がつかない。これからじっくり考えていきたい。勘三郎さんはとても大きなものを松本に残してくれた」とした。  市民サポーターとして参加してきた松本市井川城の主婦丸山孝子さん(62)は「ことしの舞台で見かけた時は元気そうだったので信じられない。テレビのニュースを泣きながら見た」。楽屋に軽食を用意する係だった丸山さんは「信州の野菜を置いたら、勘三郎さんが『おいしい』と食べてくれた。公演中で疲れていても私たちに笑顔を向けてくれた」と話していた。  まつもと市民芸術館は6日から、2階のシアターパークに献花台と記帳台を設置する。(長野県、信濃毎日新聞社)


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