県は8日、県民参加で県の事業を点検する「県民協働による事業改善制度」を県庁で初めて試行した。一般の県民と有識者が、都市と農村の交流事業など計8事業について必要性や妥当性を議論。各事業とも、事業規模の変更など何らかの形で「見直しが必要」とする意見が多数を占めた。試行段階だが、県は来年度予算編成に反映させる。 昨年度までの「信州事業仕分け」に代え、来年度からの本格実施を目指す新たな取り組み。県政への意見を募る「県政モニター」の登録者から選んだ県民計18人と有識者計14人が「点検者」となり、2班に分かれて各4事業を取り上げた。 1事業当たり1時間15分をかけ、県側からの説明や質疑、議論を経て、各点検者が「行政が行う必要はない」「国・市町村で実施」「見直しが必要」「現行通り」のいずれかに投票した。 県民の点検者の判断は、いずれも「見直し」が最多。一方で、信州観光のPRやモデルプランの提案などの観光誘客促進事業については、県民2人が「国・市町村で実施」を選んだ。外国籍など日本語が不自由な高校生を支援する事業については、県民1人が「行政が行う必要はない」との考えを示した。 また、見直しの方向性に関してU・Iターン促進事業では、昨年度のIターン就職者数が目標の80人を下回る49人にとどまっており「コスト面で評価できない」といった厳しい指摘も出された。似通った事業が複数ある現状を改めるよう求める意見もあった。 点検を受けた担当課長の一人は「廃止ありきだった昨年の事業仕分けに比べ、建設的だった」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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