信大研究者らでつくる「信大震動調査グループ」と松本市危機管理部は、昨年6月30日に同市で最大震度5強を観測した地震の活断層について、これまで繰り返し地震を起こしてきたかどうかを調べる。今後の地震対策に役立てる狙いで、計測に先だち8日、関係者が同市寿北などを訪れ、地震計を置く場所を決める測量をした。 計画した信大理学部の原山智教授(地質学)によると、今回は「微動アレイ探査」と呼ばれる新しい手法を使う。地表には人の活動や自然現象などにより、震源を特定できない微小震動(微動)が常に伝わっている。この微動を高感度地震計で観測すると、地下の状態が分かるという。特別な機器で地表をたたくなどして人工的に震動を起こして調べるこれまでの手法に比べ、観測が容易で経費が掛からず、市街地でも実施できるといった利点がある。 探査は、昨年6月の地震を起こした松本市南部の地下4キロ、長さ4~5キロの活断層を挟んで東西に計四つの調査地点(寿北、平田西、野溝西、笹賀)を設定。各地点で直径200メートルの円内に地震計を8カ所置き、約40分間計測する。9、10日の2日間でデータを集め、来年1月中に結果をまとめる。約130万円の費用は信大と松本市で分担する。 原山教授は、同じ手法で北アルプス・上高地の地下の探査をこれまで4回実施。河童橋の周辺に東西約4キロの活断層を二つ確認するなど成果を挙げており、松本盆地でも活用できると考えた。 同教授は「松本盆地の地下には水が多く含まれているため、データがきちんと取れるか未知数な部分もある」とした上で「何回も地震を起こしている活断層であれば、断層のずれは数メートル以上になる。探査で十分捉えられるはずだ」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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