上田市の千曲川支流の浦野川にサケの受精卵を置いて、自然にふ化させる試みを新潟市のNPO法人新潟水辺の会(代表・大熊孝新潟大名誉教授)が計画している。これまで進めてきた稚魚放流に加え、自然により近い状態をつくる。10日は水辺の会スタッフが現地を訪れ、上田市の協力者と共に水質や水温などを調べた。 独立行政法人水産総合研究センター日本海区水産研究所(新潟市)によると、同様の試みは本州の日本海側では初めて。この日の調査で、水温や水質におおむね問題はなく、水辺の会は「何とか軌道に乗せたい」としている。 同会は2007年度から千曲川と支流でサケの稚魚を放している。自然産卵に近づける次の段階として、受精卵の中でも成長の進んだ「発眼卵」を水の出入りする容器に入れ、川の中に置いてふ化させることにした。 候補地を探し、浦野川で川遊びの催しなどを企画している住民グループ「おとぎの里」が管理面などで協力することとなった。上田市の千曲川では10年とことし、遡上したとみられるサケの死骸が見つかっている。 10日の調査は、同会スタッフ2人と、技術協力をしている同研究所さけます調査普及グループの職員が実施。「おとぎの里」の代表世話人石井孝二さん(52)や河川生態学が専門の高橋大輔・長野大教授と意見を交わした。 同会は16日、約1万個の発眼卵を新潟県から運び、容器に入れて川に沈める。容器にはふ化した稚魚が出られる隙間がある。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧