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大腸がん抑制物質を製剤化 信大助教ら開発に成功

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 信大医学部(松本市)統合生理学講座の塚原完(たもつ)助教(44)=脂質生化学=らが10日までに、大腸がんの細胞増殖を抑える働きがある物質「環状ホスファチジン酸(cPA)」を徐々に放出する製剤の開発に成功した。cPAはそのままだと体内の酵素で分解されてしまうが、開発に成功した製剤なら患部に届いて効果を発揮する。塚原助教は、大腸がんの新たな治療法開発につながる可能性があるとしている。  お茶の水女子大(東京)の室伏きみ子理学部教授(細胞生物学・生化学)との共同研究で、成果は国際専門誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。  cPAは体の機能を調節する働きがある脂質の一種。塚原助教らは既に、cPAが細胞の核内にある受容体「PPARγ(ガンマ)」にくっつき、大腸がんの増殖を抑えることなどを発見している。  ただ、cPAが体内で酵素に分解されると、大腸がんの増殖を促進する物質に変わってしまうのが課題だった。そこで、ゼラチンを主な原料とする直径約50マイクロメートルの「マイクロ粒子」内にcPAを封入した製剤を開発した。  試験管内の実験で、製剤にすると酵素の影響を受けにくくなる他、24時間後に30%、72時間後に55%とcPAが徐々に放出されることを確認。製剤にしても大腸がんの増殖抑制効果が変わらないことも確かめた。がん細胞は、くっついた場所から離れて遊走(転移)するのが特徴だが、実験では製剤で遊走が抑えられることも分かった。  塚原助教は「cPAを安定した状態で使えるめどが立った。大腸がんの増殖を効果的に抑える新しい治療法につながる」とし、「今後は大腸がんを発症した動物を使い、治療効果を調べたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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