大町市美麻の美麻小中学校で12日、有害獣駆除で取れたニホンジカの肉を使った初めてのジビエ給食があった。農作物被害の実情を共有したいと、住民らがことし設立した美麻ジビエ振興会と協力。狩猟肉ならではの味わいは子どもにも好評だった。同校は来年度から「ジビエの日」を設け、毎月一度は給食メニューに加えたい―としている。 振興会が7月に造った中信地方初の狩猟肉解体施設で加工したシカ肉9キロを使用。うま味を引き出し軟らかくなるよう、前日に会員らが糖質や香辛料をまぶして真空パックし、この日朝から学校の調理場で2時間煮込んでカレーにした。 食堂に集まった小中学生94人と教職員らは、「森からいただいた命に感謝しましょう」の児童あいさつで「いただきます」。口々に「いつも食べる肉とは違う味」「おいしい」などと話し、あっという間に平らげた。小学2年生の西條ひとみさん(8)は「私の口には少し合わないけれど、スパイシー」と話していた。 児童らが焼き芋用に作るサツマイモ畑が2年連続でほぼ全滅するなど、シカ、イノシシの農作物被害は子どもたちにとっても身近だ。「食べることで地域課題の解決に貢献したい」(山浦和彦校長)と、11月以降、学校栄養士が給食向きの調理法を学んだほか、会員を学校に招きジビエ振興の意義について児童生徒が学習してきた。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧