駒ケ根市の企業経営者ら有志が新会社「駒ケ根自然エネルギー」を設立し、中央アルプスから流れる太田切川右岸に小水力発電装置を整備した。出力5・5キロワットで来週にも稼働予定。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を利用し、中部電力に売電する。水力発電で、買い取りに必要な「設備認定」を国から受けたのは県内で初めて。中央、南の両アルプスを望み、水資源が豊富な同市のイメージアップにもつなげたい考えだ。 太田切川から取水する農業用水路の末端の水を利用。高低差約15メートルの水路沿いに長さ約45メートルの導水管を敷設し、先端に水車と発電機を据えた。総事業費は約1千万円で、市の補助金約95万円も活用。試算では、売電により5、6年で採算が取れる見込みという。 小水力発電は、河川法の水利権許可手続きで国や県など河川管理者への申請、許可までに労力と時間がかかることが、課題の一つとなっている。今回は、田畑を潤した後の用水末端の水を利用するため、水利権申請が要らなかった。 発電装置を設けた河川敷一帯の土地は、地元の駒ケ根土地改良区が所有。同土地改良区の関係者ら市民有志は、ここにランニングコースや公園を整備することを構想しており、新会社を設立した経営者らも加わっている。小水力発電の導入には、駒ケ根の自然をアピールする狙いもある。 新会社社長で、市内の建設会社社長も務める窪田雅則さん(59)は「駒ケ根の魅力を発信し、地域おこしにつなげたい」。市環境課は「実績やノウハウを市に報告してもらい、自然エネルギーの普及に役立てたい」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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