県は12日、「感染性胃腸炎警報」を県全域に初めて出した。県内55の小児科医療機関から報告されたノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者数が9日までの1週間で1医療機関当たり20人を超えたのを受けた対応。全国で流行しており、県健康長寿課によると、県内でも過去10年では2006年に次ぐ勢い。県は感染予防のための手洗い徹底などを呼び掛けている。 同課によると、9日までの1週間に届けられた患者数は計1121人(速報値)で、1医療機関当たり20・38人。11月に入って急増した。過去の同時期でみると、過去10年で1医療機関当たりの患者数が20人以上となった06年の25・38人は下回ったものの、11年の5・98人、10年の13・02人は上回った=グラフ。 保健所別では、飯田(33・80人)、長野市(25・73人)、松本(24・20人)の順で多い。年齢別では、10歳未満が全体の7割余を占める。 県立こども病院(安曇野市)の笠井正志医師(総合小児科)はノロウイルスについて「感染力が強く、特効薬はない」と指摘。特に高齢者は嘔吐(おうと)で窒息したり、気管に入って肺炎を起こしたりする恐れがあり、感染しないことが重要とする。小まめな手洗いの他、患者の嘔吐物や便を片付ける際には使い捨てマスクや手袋を着用する必要があるとし、「家族内感染にも注意し、トイレのドアノブなど患者が触れた所は消毒をしてほしい」と呼び掛けている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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