スマートフォン(多機能携帯電話)で再生したロックやポップスなどの音楽から、歌声だけを消して手軽にカラオケの練習ができる機能を諏訪東京理科大(茅野市)の学生らが開発した。業務用通信カラオケ大手のエクシング(名古屋市)がスマホ向けに配信している無料のアプリケーションソフトに今月採用されて好評だ。 同大システム工学部の田辺造(なり)准教授(37)が同社から2年前に依頼され、研究室の学生たちが開発を進めてきた。本年度は3年生の両角葉月さん(21)、武田駿さん(21)が中心となって完成させた。 田辺准教授は、複数の音の中から必要な音だけを取り出す技術を研究し、胎児の心臓の音を母親の臓器の音と区別して取り出すシステムの開発も手掛けている。2人は田辺准教授の特許技術を応用し、アプリ用のプログラムを作成。夏休みに集中的に作業を進め、誰でも手軽に使え、音声を消す程度を3段階で調整できるようにした。 田辺准教授によると、再生した楽曲から歌声だけを消す技術は以前からあったが、伴奏がモノラルになってしまっていた。今回採用された技術は、伴奏がステレオで、音質も良いという。 アプリ名は「カシレボ!JOYSOUND」で、エクシングによると、昨年8月に配信を始めてから利用は約100万件になるという。音楽を再生すると画面に歌詞が表示される機能に加え、今月カラオケ練習機能を追加した。 アプリを入手するインターネットサイトの感想欄には、追加機能を評価する声が数多く掲載されている。両角さんは「これに満足せず、さらに改良を加えたい」。武田さんは「新しいものを作り出す作業が面白く、将来はそういう仕事に関わりたい」と話している。 同社からの報酬は大学が受け、パソコン更新など研究環境の向上に役立てるという。(長野県、信濃毎日新聞社)
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