築地本願寺で27日営まれた中村勘三郎さんの本葬には、松本市で開かれた信州まつもと大歌舞伎で縁の深い県内からも100人を超える人たちが参列した。同市副市長の坪田明男さん、まつもと市民芸術館支配人の中沢孝さんの他、大歌舞伎に「市民キャスト」として出演した人やボランティア経験者らも訪れた。 坪田さんは葬儀後の取材に「『松本が好きだった勘三郎さん』と始まる弔辞を聞き、松本を愛してくれていたとあらためて実感した」と話した。中沢さんは「あらためて大きな存在を失ったと感じた」と悼んだ。 信濃むつみ高校(松本市)在学時に市民キャストとして大歌舞伎に出演した松本短大2年の梶山正樹さん(21)=安曇野市=は「歌舞伎で自分に自信が持て、人生が変わった。勘三郎さんは温厚で話しやすい雰囲気の人だった」と振り返った。 同じく市民キャスト経験者の松本大総合経営学部2年の北山郁さん(20)=松本市=は、今夏の大歌舞伎の千秋楽前日に、市内の料理店で勘三郎さんらと食事を共にした。「気さくな人柄がすごく好きだった」とし「泣いている場合じゃない。しっかり見ていてください」と語りかけ、会場を後にした。 勘三郎さんを名誉市民と決めた松本市は26日、坪田さんらが都内で家族に記章などを贈った。(長野県、信濃毎日新聞社)
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