桜の名所、高遠城址(じょうし)公園がある伊那市の設計会社が「桜コマ」を試作した。回すと5枚の「花びら」が開き、桜が咲いたように見える。設計から金型製作、組み立てまで市内の中小企業が連携して量産する態勢をつくり、「伊那製」の土産品として販売を目指す。 こまは高さ約7センチ。プラスチックの花びらは普段は閉じており、指で回すと遠心力で直径約7センチの花を咲かせる。同市富県の設計会社「スワニー」が、全国の製造業者が自作のけんかごまで競う「全日本製造業コマ大戦」出場者のために試作。見た目の美しさのほか、ぶつかった時の防御力アップも狙った。 他の業者にも評判が良かったことから、土産品として製品化することを計画。同社社長の橋爪良博さん(37)は「地元以外で作られた土産物がある中、設計から製造まで全てを地元の企業で手掛けたかった」と言う。 「中小企業の多くは大企業から仕事を受けているが、それも海外に流れている。地元から仕事をつくり出していくようになればいい」と橋爪さん。海外生産の方がコストはかからないが、「人の思いやストーリーのある製品。地元の人が作っているということを付加価値にしてアピールしていきたい」と話している。 市内の中小企業に呼び掛け、10月中旬に発売するのが目標。来春には、高遠城址公園で開かれる「さくら祭り」に合わせ、こま回しを実演しながら販売したいという。(長野県、信濃毎日新聞社)
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