Quantcast
Channel: 信濃毎日新聞
Viewing all articles
Browse latest Browse all 7401

笠智衆さんの山荘公開へ 蓼科高原・夏の催しで

$
0
0

 小津安二郎監督(1903~63年)の「東京物語」など数多くの映画に主演した俳優笠智衆(りゅうちしゅう)さん(1904~93年)が茅野市蓼科高原に構えた山荘が、今年から一般公開される。実直で飾り気のない笠さんの演技と存在感を思わせる素朴な木造平屋の日本家屋で、蓼科を訪れていたころの生活の一端がうかがえる。  笠さんの山荘は、小津監督が晩年の仕事場とした蓼科高原の山荘「無芸荘」の近くにある。8畳、6畳、4畳半の和室3室に台所や風呂、納屋を備え、昭和の趣がある茶だんすや照明器具などの家具類が残っている。  毎年秋に開く「小津安二郎記念・蓼科高原映画祭」実行委員会顧問の北原克彦さん(原村)によると、笠さんは1950年代に山荘を購入。夏場を中心に滞在し、特に80歳を過ぎた80年代半ばからは頻繁に訪れていたという。笠さんは山田洋次監督の「男はつらいよ」シリーズの御前様役でも知られた。  公開は、今年の小津監督生誕110年を記念し、同実行委と地元の蓼科観光協会が発案。山荘を所有する笠さんの遺族から承諾を得て、小津監督がかつて滞在中に散歩した道を案内する夏の催しなどで紹介する計画だ。昨年11月に実行委と同協会の会員らが大掃除し、準備を整えた。  北原さんによると、蓼科高原には50~60年代に俳優や映画関係者が相次いで山荘を構えた。多くが小津監督と、盟友の脚本家・野田高梧(こうご)(1893~1968年)を慕った人たちだった。  「晩春」「秋刀魚の味」など数々の小津作品で演じた笠さんについて「小津映画に欠かせない存在だった」と北原さん。「昔のたたずまいで残る山荘は、蓼科高原に滞在した映画人の生活を知る上でも貴重。地域の財産として受け継いでいきたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)


Viewing all articles
Browse latest Browse all 7401

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>