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公立小中教員への「訓諭」「注意」 県教委、確認せず人事

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 比較的軽い交通違反や体罰などがあった県内公立小中学校の教員に対し、市町村教育委員会が行った訓諭(訓告)や厳重注意、口頭注意について県教委が確認しないまま人事異動を行ってきたことが31日、分かった。県内では本年度、わいせつ行為などで公立学校教員8人が懲戒免職処分となり、記録のある1992年度以降で最多。こうした重大な不祥事に至る前に「芽」を摘み取る上での情報共有が不十分なことが浮き彫りになった。  公立小中学校は市町村が設置。教員の訓諭などを行う服務監督権限は市町村教委にあるが、人事権や懲戒処分の権限は県教委が持っている。このため責任の所在が曖昧との指摘が以前からあり、阿部知事が掲げる「知の分権」構想の中の公立小中学校教員人事権の市町村教委などへの移譲の論議にも一石を投じることになりそうだ。  訓諭などは、不祥事を起こした教員に対して県教委が行う免職や減給などの懲戒処分よりも程度が軽い対応で、責任を確認させ将来を戒める「指導上の措置」。懲戒処分は県教委の人事記録カードに残り、教員の異動時に引き継がれるが、指導上の措置は記録されない。  県教委は市町村教委に対し、指導上の措置に関する報告書の提出を義務付けておらず、会議などの場で提出を口頭で依頼しているだけで、2010年度までは「報告漏れがないとは言い切れない」(県教委義務教育課)という状態だった。報告書類は昨年度までは保管するだけで、いつ、どの学校の誰が指導上の措置を受けたのかが分かる一覧表も作っておらず、確認できる態勢になっていなかった。  2008年には、女子生徒にキスするなどして訓告を受けた教諭の情報が異動時に引き継がれず、同じ教諭が転任先で教え子にみだらな行為をさせたとして児童福祉法違反で逮捕され実刑判決が出た事例もある。  県教委は、指導上の措置を受けた公立小中学校教員が異動する際の情報の引き継ぎに関し、翌09年春の異動から校長間で文書で引き継ぐよう校長会に要請。12年春の異動からは懲戒処分などを含め引き継ぎがあったかどうか全校に文書で調査してはいるものの、誰に関するどんな情報を引き継いだかは確認していない。  文部科学省の調査によると、県内公立学校教職員が受けた指導上の措置は、2009年度に56件(他に上司の監督責任30件)、10年度に44件(同19件)、11年度に76件(同29件)あった。  信濃毎日新聞の県教委への情報公開請求や取材によると、ある中学校教諭は11年7~8月、アダルト系アニメのDVDなどを勤務時間中に準備室などで数回見て、生徒数人に目撃もされたとして訓諭に。別の中学校教諭は11年7~10月ごろ、顧問をしている部活動に関わる不満や日常の思いなど「個人情報や学校内部の情報に当たる」(県教委)不適切な内容を、短文投稿サイトのツイッターに書き込んだとして口頭による厳重注意になった。  県教委義務教育課の笠原千俊課長は「公立小中学校の服務監督権を持つのは市町村教委であり、県教委の役割は校長や市町村教委の引き継ぎを支援することと考えてきた」と説明。「ただ、不祥事を少しでも減らすため、市町村教委と協力して落ちのない丁寧な情報管理ができるよう、さらに改善を検討したい」としている。  一方、教育研究家の古山明男さん(千葉市)は「県教委と市町村教委に権限が分かれ、責任が曖昧になっている」と指摘。「校長が学校管理に責任を持つために、過去の指導上の措置などを確認できる情報整理も必要だ」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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