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人材育成、県「知の分権」構想 産学官共同で近く円卓会議

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 将来にわたって地域で活躍する人材の育成に向け、教育と雇用、研究開発まで一体となった取り組みを、県内産業界や大学、県、市町村などが連携して検討、推進する「知の分権」構想に県が乗り出す。近く「産学官協働人財育成円卓会議」(仮称)を設置、具体的な施策の議論に入る。地域の文化や伝統、特色を反映した教育を進めるため、「分権」の一環として、県教育委員会が持つ公立小中学校教員の人事権を市町村に移譲することも検討する。  構想では、県内高校を卒業して大学に進学する生徒の8割以上が県外に流出し、首都圏への「知」の集積が加速している現状を踏まえ、若者が地域にとどまる動機づけとなる施策を地域が主体となって推進する。人材の育成と定着に関する独自の「知の分権モデル」は、国主導の側面が強い現行教育制度にも一石を投じることになりそうだ。  円卓会議は人を地域の財産と捉え「人財」と表現。信大など県内の四年制8大学、県経営者協会など経済4団体、製造、サービス、金融など各分野の有力企業、県農協中央会が参加を予定。県、県教委、県市長会、県町村会、県高校校長会、有識者も加わり、大学側の教育方針と、産業や地域が求める人材とを調和させる「マッチング」などについて論議する。  インターン(就業体験)制度の拡充、経営者や首長らによる講座、学生が社会活動などを企画・実践することでさまざまな知識を習得する「プロジェクトベースラーニング」の支援なども検討される見通しだ。  県は12月に公表した2013年度からの総合5か年計画原案で人材育成を施策の柱に据えた。今後、県と県教委が設置している「教員の資質向上・教育制度あり方検討会議」での議論も踏まえ、複層的に施策を打ち出していく。  公立小中学校の教員は市町村職員とされている一方で、給与負担と人事権は都道府県側にあるため、責任の所在が曖昧―との指摘がある。人事権が移譲されれば、市町村教委は地域の実情に応じた教員の採用や異動ができるほか、責任の所在も明確になる。県は、県町村会長の藤原忠彦・南佐久郡川上村長の提言を受け、「県と市町村との協議の場」に諮りながら検討を進める。  阿部守一知事は「現行の教育制度は国の支配が強く、分権社会に応じた制度になっていない」と指摘。人事権は、長野市や松本市などには全面移譲し、小規模自治体については広域連合に移譲することを念頭に置いている。県市長会長の母袋創一・上田市長は「教員のレベルをある程度一定に保つには人事権は広域単位での移譲が望ましい。市長会には諮っていないが、議論することは賛成」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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