木曽地方の初夏の名物「ほお葉巻き」に使われるホオノキの葉(ほお葉)に、ロタウイルスやウェルシュ菌による食中毒の予防・軽減効果があることが、木曽郡木曽町が開設した「地域資源研究所」と、信大大学院農学研究科(上伊那郡南箕輪村)の研究で分かった。ほお葉は古くから、食品の包装材としての利用が中心だった。新たな機能性の発見で、食品としての活用の道も開けそうだ。 実験では、液体窒素で粉末状にしたほお葉を熱水に入れ、成分を抽出。ほお葉の抽出物をマウスに与えたところ、乳幼児に多いロタウイルスによる胃腸炎の発症率を70~80%に抑えることができたという。葉は早い時期に採った若い葉ほど、効果が高かったという。 食中毒を引き起こす菌についても、腸の上皮細胞を使って予防効果があるかを調べた。その結果、下痢などを引き起こすウェルシュ菌について、菌が出す毒素を抑える効果が確認できたとしている。 「ほお葉巻き」は、ホオノキの葉にあん入りの団子を包んで蒸した菓子。研究を担当する同大大学院の河原岳志助教によると、葉にはこれまで、抗菌作用があるとの報告があった。 「ほお葉には食品を包むものというイメージがあるが、実験で食品として摂取できる可能性が示された」と河原助教。ほお葉のどの成分がどのように食中毒を抑えるのに作用するか、さらに解明を進める。 研究結果については既に、特許を出願した。今後はほお葉を使い、子ども向けの食品や飲料の開発などを目指す。食品微生物や免疫学などが専門の元信大教授、保井久子研究所長=伊那市=は「ほお葉は特に、木曽地方の人にとっては身近なもの。新たに分かったほお葉の機能性を、地域の活性化にも役立てていきたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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