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ゾウの足底圧で病気発見 信大パタキー助教ら

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 信大繊維学部(上田市)のトッド・パタキー助教(36)=生体工学=らが、ゾウが立ったり歩いたりする際に床にかかる足底の圧力を調べ、病気の兆候を診断する研究に取り組んでいる。人の糖尿病患者を中心に実用化されている医療技術を応用。足底の傷が原因で病気になり死亡するゾウは少なくないといい、助教は「救う一助にしたい」と話す。  糖尿病患者は神経障害の悪化による「糖尿病性足部潰瘍」のため、重症の場合は足の指を切断しなければならない場合がある。助教によると、最初は自覚症状がないが、神経障害が起きると指先に力が入りにくくなるため、1970年代から患者に対して足底にかかる圧力の定期測定が行われ、病症の早期発見につなげてきた。  一方、動物園のゾウはコンクリートの上で暮らすことが多いため、野生のゾウより足に傷が付きやすいという。爪と皮膚の間に潰瘍ができたり、傷口から細菌が入って感染症にかかったりするケースが目立つ。助教は「動物園で死んでしまうゾウの約半分は足の裏に原因がある」と話す。  パタキー助教は足底の圧力測定が専門。カナダ出身で信大には2009年に赴任した。3年ほど前から、英国・ロンドンの王立獣医大と共同で人間の足底測定をゾウに応用する研究を続けている。英国とタイの動物園で09年以降に計数回実施した実験では、1万6千個のセンサーを埋め込んだ縦2メートル、横50センチの床の上を健康なゾウに歩かせ、圧力のデータを集めた。  床の上を真っすぐ歩くようにゾウを調教するのは難しいといい、データ集めには実験を重ねる必要がある。今後は病気のゾウについて同様のデータを集め、圧力の分布と病気の関連性などを調べる計画だ。  パタキー助教は「病気かどうかを判断できる基準を作るために、データの蓄積と分析を急ぎたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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