松本、塩尻市と東筑摩郡の狩猟免許を持つ人でつくる松塩筑猟友会は13日、ニホンジカの個体数を抑えるため、松本市安曇の北アルプス山麓で初めての駆除を試みた。約60ヘクタールの範囲でシカ10頭ほどを目撃。かつて北アに生息しないとみられていたシカが多く越冬している現状が分かったが、捕獲はできなかった。 駆除は国、県などでつくる中部山岳国立公園野生鳥獣対策連絡協議会が進める取り組みの一つ。昨春、安曇野市猟友会が実施したのに続く。松塩筑猟友会の梓川、安曇、奈川支部会員ら36人が、島々集落に近い大明神山南の標高約800~1300メートルで、生息地からシカを追い立てる「巻き狩り」をした。 追い立て役の「勢子(せこ)」21人が斜面に約50メートルの間隔を保ちながら「ホイ、ホーイ」といった声を上げたり、爆竹を鳴らしたりしながら前進。間もなく、5、6頭の群れが見つかった。その後も2カ所で2、3頭ずつ目撃したが、いずれも勢子の列をすり抜けて逃げた。銃を持って待ち構えた撃つ役「立(たつ)」の前には現れなかった。 下山後の反省会では「足跡がかなりあった」「(周辺の山で)越冬しているシカはかなり多いようだ」との声が出た。同猟友会安曇支部長の斎藤浩幸さん(52)=松本市安曇島々=は「シカがあまりに増えれば脅威になり、手遅れになる。(今回は使わなかった)猟犬を使ってまた駆除をしたい」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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