伊那市で2010年9月、市内の会社員佐野利光さん=当時(42)=の刺殺体が見つかった事件で、借金返済を免れるため職場の同僚だった佐野さんを殺害したとして強盗殺人罪に問われた上伊那郡南箕輪村田畑、無職藤井時雄被告(69)の裁判員裁判初公判は、15日午後も長野地裁(高木順子裁判長)で引き続き審理を行った。検察側の証人として、捜査を指揮した、当時県警捜査1課管理官だった男性警察官が出廷した。 証人の警察官は、携帯電話のメモ機能の他、指紋やDNA鑑定結果などから被告を逮捕したと証言。犯行に使われた包丁について、現場周辺では市内の農産物直売所が販売していたとし、藤井被告の勤務先のタイムカード記録から、購入は可能だったとした。返り血を浴びたとみられる衣服が見つからなかったことについては「いったん持ち帰り、後日処分したのではないか」と述べた。 弁護側が携帯電話のメモ機能に残っていた借金返済の記載が作成された時期を問うと、「特定できなかった」と述べた。また、現場近くで見つかった茶封筒に入っていた15枚の「一万円札大の紙片」について、弁護側が、指紋が紙片のうち一つからしか採取できなかったと指摘すると、証人の警察官は「触れば必ずしも指紋が付くわけではない」とした。 この日の法廷で検察側は、一万円札大の紙片入り茶封筒が、誰が何のために作ったものかなどについては説明しなかった。(長野県、信濃毎日新聞社)
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