全国のハクチョウ愛好家や研究者らでつくる日本白鳥の会の第37回研修会が19日、滋賀県草津市で2日間の日程で始まり、安曇野市で保護活動を続ける「アルプス白鳥の会」の獣医師望月明義さん(69)=豊科田沢=が、コハクチョウの電線衝突の実態や対策を報告した。全国から約90人が集まった。 望月さんは、安曇野で1991年以降、29羽が電線などに衝突したと報告。10羽が即死、12羽が翼や脚など骨折の重傷、7羽が軽傷で、野生復帰は7羽だけと述べた。 飛べないとみて魚の養殖池に放した後に飛べるようになった例や、動物園などに引き取られた後、仲間と折り合いが悪く栄養失調になった例も紹介。中部電力が電線に目印を付け、ハクチョウが気付きやすくした対策を報告した。望月さんは「衝突防止には電線が多い地域に招き入れない工夫が必要」と強調した。 また、日本白鳥の会の荒尾稔理事(72)=東京都=は、2005年12月の豪雪で、日本海側に飛来していたコハクチョウが餌不足などで大移動し、千曲川沿いの千曲市や上田市、佐久市などに小規模な飛来地が新たにできたとの見方を発表した。 今回は初めて韓国の研究者も発表。釜山市のオオハクチョウの飛来地で、空港や橋、住宅団地の工事により飛来数が激減したと報告した。 研修会は年1回開いており、来年は3月に安曇野市で開く予定。(長野県、信濃毎日新聞社)
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