松本市と市防災連合会は16日、地震対策を考える「市民防災セミナー」を同市Mウイングで開いた。信州大の研究者らでつくる信大震動調査グループが、市との共同調査で新たに存在を推定した三つの大規模断層について報告した。 同グループが推定した断層は、牛伏寺断層や2011年6月30日に最大震度5強を松本市で観測した地震の原因とされる活断層より大規模。信大理学部(松本市)の原山智教授(地質学)は、講演で「この地域にはメーンの主断層があり、地表近くで枝分かれしている状況が分かった」と説明。「牛伏寺断層は、主断層から枝分かれした副断層との推測が確かめられた」と話した。 グループ代表の小坂共栄・信大特任教授(構造地質学)は、調査結果を基にまとめた市内の「揺れやすさマップ」を報告。松本駅周辺や南松本駅の東側などは「他の地域より軟弱な地層が厚い」とし、「地震の波は軟らかい地盤を通ると増幅されるため、注意が必要だ」と述べた。 セミナーは防災への関心を高める狙いで毎年開いており、この日は約180人が参加した。(長野県、信濃毎日新聞社)
新たに推定の3断層を報告 松本の市民防災セミナーで信大研究者
「帰ってきてね」サケ稚魚放流 上田の千曲川支流・浦野川
長野、新潟両県の千曲川や信濃川などにサケが遡上(そじょう)できる環境づくりに取り組むNPO法人「新潟水辺の会」(新潟市)は16日、上田市の千曲川支流、浦野川でサケの稚魚を放流した。親子連れなど200人余りが体長4センチほどの約2万匹を放した。日本海やオホーツク海、アラスカ湾を回り、順調に育てば2~5年後に戻ってくるという。 参加者は同市小泉の「上田道と川の駅」近くの川岸で、稚魚を入れたバケツを流れに少しずつ傾けた。稚魚が泳ぎ出すと、「バイバイ」「帰ってきてね」と声を掛けた。同市本郷の小林向日葵(ひまわり)ちゃん(2)は放流を初めて体験したといい、母知里(ちさと)さん(26)は「とてもいい経験になった」と話した。 上田市南小学校4年生は、昨年12月から校内でふ化させて育てた稚魚262匹を放流した。大川玲央那(れおな)君(10)は「みんなで記録を付けながら、大きくなっていくのを見るのが楽しかった。ちゃんと帰ってきてほしい」と願っていた。 上田市での放流は3年目。15日には、飯山市の千曲川など3カ所で同市岡山小の児童らが計6万匹を放した。(長野県、信濃毎日新聞社)
糸魚川で新幹線開業1年前イベント 大町・白馬・小谷から出席者
新潟県糸魚川市のJR糸魚川駅で16日、1年後の2015年3月に迫った北陸新幹線(長野経由)金沢延伸開業のカウントダウンイベントがあった。長野、新潟、富山3県の6市町村などでつくる「北アルプス日本海広域観光連携会議」メンバーの大町市や北安曇郡白馬村、同郡小谷村の関係者も出席した。 糸魚川駅の自由通路では、15日に長野新幹線区間で営業運転を始めた新型車両E7系の模型が披露された。玩具メーカー「タカラトミー」(東京)が4月下旬に発売予定で、同社と糸魚川市が作ったカウントダウンボードの前にレールを敷いて走らせた。 模型は販売開始から55年になる同社のプラレールの1商品。同市は祖父、父、子3世代で遊んだプラレールのレール部分を市民らから集め、来年の開業イベントで走らせる計画だ。 イベントで、松本久志小谷村長は「糸魚川駅は小谷村に最も近い新幹線駅。利用促進に村民も努力し、村の主産業の観光発展につなげたい」とあいさつした。会場では、糸魚川市と姉妹提携している塩尻市のワインも販売された。(長野県、信濃毎日新聞社)
岡谷・塩尻の隣接2市がシカ合同捕獲 挟み撃ちで効率向上狙う
岡谷市、塩尻市とそれぞれの猟友会は16日、両市境にある東山(標高1429メートル)一帯の山林で初めてニホンジカの合同捕獲をした。増えているとみられる鹿を効率良く捕獲する狙いで、両市の猟友会員と市職員計約130人が参加。計17頭を捕獲した。 鹿は市境をまたいで逃げることが多いといい、農林業被害が増えている岡谷市が塩尻市に呼び掛けた。 午前8時半に塩尻峠で開いた出発式で、塩尻市猟友会長の塩原基宏さん(72)は「記念すべき最初の作戦。成果を挙げよう」とあいさつ。両市の猟友会員や猟犬が二手に分かれ、それぞれ長さ数キロにわたって広がり、西と東に向かって鹿を追い出した。 午後2時までに岡谷市側で7頭、塩尻市側で10頭を捕獲した。岡谷市猟友会長の登内秋登さん(71)は「雪が多く、市境をまたぐ鹿の動きはなかったが、今後も市域にこだわらずに連携を強めて農林業被害を減らしたい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
AC長野、町田とドロー 開幕2連勝ならず
J3第2節は16日、各地で6試合を行った。AC長野パルセイロは町田市立陸上競技場で町田ゼルビアと対戦、0―0で引き分け、開幕2連勝はならなかった。 AC長野は、前半15分まで町田の攻守にわたる積極的なプレーに苦しめられたが、同20分すぎから押し返してペースを握った。後半も拮抗(きっこう)した展開が続き、両チームとも数回ずつ得た決定機を生かし切れなかった。 琉球が秋田を2―0で下し、唯一の2連勝。相模原とU―22選抜、盛岡が初勝利を挙げた。金沢―鳥取は引き分け。福島と藤枝は2連敗。 第3節は23日に各地で6試合を行い、AC長野は午後1時から佐久総合運動公園陸上競技場で金沢と対戦。AC長野の県内でのホーム試合は今季初となる。(長野県、信濃毎日新聞社)
「今年こそJ1へ」 山雅ホーム初戦に1万4000人
「今年こそJ1へ」―。サッカーのJリーグ2部(J2)松本山雅FCが16日、松本市のアルウィンで迎えた今季ホーム開幕戦。昨季7位と、J1昇格を争うプレーオフ進出を惜しくも逃した山雅への期待は高く、サポーターら1万4048人が来場し、大声援で選手たちを後押しした。 スタジアム周辺は、試合が始まる午後1時の数時間前からサポーターが幾重にも列をつくり、チームカラーの緑色に染まった。試合中も、山雅の勝利を願う応援歌や手拍子が途切れることなく響き、最後まで選手たちを鼓舞した。 試合後、上田市中央の中沢良精(よしあき)さん(81)は「開幕を楽しみにしていた。やはりアルウィンに来ると気持ちが燃える」。大好きな岩上祐三選手(24)のユニホームで観戦した松本市芝沢小2年、新村陸君(8)は「待ちに待った。山雅は昨年より強くなっている。次は勝って喜びたい」と話した。 松本市の松本蟻ケ崎高2年の小幡絵美梨さん(17)と宮島琴美さん(17)は、ともに初めてアルウィンで山雅の試合を観戦した。小幡さんは「歓声に押されて私も途中から夢中で応援した」。宮島さんは「一体感がすごい」と応援の迫力に驚いていた。(長野県、信濃毎日新聞社)
ご当地ヒーロー夢の共演 下條で10回目のショー、3000人楽しむ
県内外のご当地ヒーローが集う催し「ローカルヒーロー大逆転!」が16日、下伊那郡下條村の道の駅「信濃路下條」で開かれた。2003年に下條村で「地域戦隊カッセイカマン」が誕生したのに合わせて04年に村などが始め、10回目。カッセイカマン事務局の斎藤充さん(38)は「これからもここでしか見ることができないショーを続けたい」と話した。 「渦戦士(うずせんし)エディー」の徳島市、「超装甲ジオブレード」の東京都足立区など18団体が参加。観客約3千人が集まった。 カッセイカマンは、上田市の「六文戦士ウェイダー」などと最終ステージに登場。効果音に合わせてパンチやキックを繰り出し、悪役との激しい戦闘シーンを演じた。ヒーローが劣勢になると、子どもから「頑張れ」と励ましの声が上がり、悪役を倒すと大きな拍手が送られた。 昨年4月にデビューした六文戦士ウェイダーの企画などを担当する羽地輝(はねじひかる)さん(43)は「村が一体となって(催しを)作り上げているところがすごい」。群馬県太田市の「風天狗(かぜてんぐ)リューマイン」の石関俊明さん(44)は「ここのショーは子どもが多い。情熱と夢の物語が観客を引き付け、これだけの規模になった」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
高森でひき逃げか 4歳男児、顔の骨折るけが
16日午後3時20分すぎ、下伊那郡高森町牛牧の町道で、近くの会社員吉川剛さん(37)の長男太翔(たいが)ちゃん(4)が泣きながら道路上に倒れているのを家人らが見つけ、119番通報した。太翔ちゃんは飯田市内の病院に運ばれたが、顔の骨を折るなどのけがをした。飯田署は現場の状況などからひき逃げ事件とみて、自動車運転過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで調べている。 吉川さんや同署によると、太翔ちゃんは鼻や耳から出血していた。現場に駆け付けた吉川さんが太翔ちゃんに話し掛けると、話すことはできなかったがうなずいたという。 現場は、中央道の西側に広がる水田地帯を通る町道で、周囲に住宅が点在している。(長野県、信濃毎日新聞社)
アルウィンに春 山雅、ホーム開幕戦はドロー
サッカー・Jリーグ2部(J2)の松本山雅FCは16日、松本市のアルウィンで今季のホーム開幕戦に臨み、V・ファーレン長崎と0―0で引き分けた。今季の成績を2勝1分けとし、ホーム初勝利は持ち越した。 松本山雅は開幕からアウェーで2連勝してホーム初戦を迎え、スタンドには昨季のホーム開幕戦より1千人以上多い1万4048人が詰め掛けた。長崎の攻勢に耐える時間が長かったが、後半は船山貴之選手や岩上祐三選手がゴールに迫る場面もあり、サポーターから大歓声が上がった。(長野県、信濃毎日新聞社)
郵便物394通を隠した疑い、豊科郵便局社員を書類送検
松本署は17日、郵便法違反(郵便物の隠匿)の疑いで、安曇野市の豊科郵便局の男性社員(40)の書類を地検松本支部に送った。 送検容疑は1月30日、同日に配達予定だったはがきなどの郵便物394通を自分の車の中に隠した疑い。容疑を認めている。 同署と日本郵便信越支社(長野市)によると、同社員は期間雇用。1月30日、勤務時間内に配達を終わらせることができず、勤務時間外の夜間に配達をしようとしていた。同日午後10時50分ごろ、松本市内で単独の物損事故を起こし、事故処理に当たった松本署員が車内に郵便物があるのを見つけて発覚した。 信越支社によると、同社員は1月31日から勤務停止になっている。隠していた郵便物は同日中に他の社員が配達した。 同支社は「社員が犯罪を起こし、信頼を損なうことになり誠に申し訳ない」とし、書類送検された社員については「事実関係を調査した上で厳正に対処する」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
バングラの学校づくりを応援 伊那東小児童が街頭募金活動し寄付
総合的な学習の時間で途上国について学んだ伊那市伊那東小学校4年菊組の児童34人が17日、バングラデシュで県国際協力支援センター(駒ケ根市)が進める小学校建設に役立ててほしいと、街頭募金などで集めた1万7千円を同センターに贈った。学校に行けずに働く現地の子どもらのことを知り、「自分たちなりの方法で学校づくりを応援したい」と寄付を申し出た。 菊組は昨年7月、同センター代表理事で元青年海外協力隊員の小笠原一博さん(58)=駒ケ根市=を招き、学校建設計画や現地の子どもの暮らしぶりなどを聞いた。小笠原さんによると、現地の学校は来年1月に開校予定という。 児童らはこの日、伊那東小を訪ねた小笠原さんに、寄付金や、集めたアルミ缶を換金して購入したノートや鉛筆などの文房具を手渡した。2月にバングラデシュを訪れた小笠原さんは建設中の学校の写真などを見せて、「みんなの気持ちを届け、バングラデシュと日本がもっと仲良くなる関係ができたらいい」と期待。宮下潤一君(10)は「いつかバングラデシュの子どもたちと友達になれたらうれしい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
ラウンドアバウトなど評価 飯田市内の交通整備に学会から賞
国際交通安全学会(東京)は、優れた交通社会の実現に貢献した業績などを顕彰する本年度の「国際交通安全学会賞」の業績部門に飯田市を選んだ。中心市街地が焼けた1947(昭和22)年の「飯田大火」からの復興で始まった住民主体のまちづくりを継承し、信号機を使わない円形交差点「ラウンドアバウト」も整備したことなどが評価された。 復興に伴い設けられた防火帯に、市飯田東中学校の生徒たちによって「りんご並木」が整備され、その北の延長には桜並木が設けられた。その後、桜並木の吾妻町ロータリー交差点については、ロータリー機能の存続を望む住民の声も受けて市はラウンドアバウトとして整備した。 受賞理由では、吾妻町交差点での取り組みが、東日本大震災で多くの信号機が機能しなかった教訓を踏まえ、ラウンドアバウトの必要性を社会に広く示したとしている。 同賞は1979(昭和54)年度に始まった。本年度は大学教授ら6人でつくる企画委員会が選考。委員長を務めた日本大学理工学部の福田敦教授は「吾妻町ロータリーをラウンドアバウトとして整備するなど、住民の要望に応じた市の取り組みを評価した」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
「ぎんれい」成功願うキルト 安曇野の鈴木さん夫妻が壁掛け作る
安曇野市穂高有明の鈴木誠三さん(72)、早苗さん(65)夫妻が、信州製超小型人工衛星「ShindaiSat(シンダイサット)」(愛称・ぎんれい)のプロジェクト成功を願い、キルトの壁掛けを作った。誠三さんは航空宇宙技術研究所(現宇宙航空研究開発機構)の元研究者で、ぎんれいの開発・運用に携わる県内企業などでつくる「信州衛星研究会」の個人会員。誠三さんの発案で、キルト作りが得意な早苗さんが手縫いで完成させた。 誠三さんは、研究所で宇宙空間で使う材料の耐熱化や軽量化などを研究。小学生から「蚕は宇宙で繭を作れるか」と質問が寄せられたのをきっかけに、天蚕飼育が盛んな安曇野に足を運ぶようになった。2002年3月に退職後、都内から移り住んだ。 ぎんれいプロジェクトの推進役で、信州大工学部(長野市)の中島厚特任教授(66)が同じ研究所出身だった縁で、発足メンバーとして信州衛星研究会に参加。体調を崩して十分活動できなかったといい、「おわびも兼ねて壁掛け作りを妻に頼んだ」という。 壁掛けは約70センチ四方。ぎんれい本体と信州の山脈などを描いたシンボルマークを基に型紙を起こし、草木染した布などを使った。発光ダイオードの光でぎんれいと地上の間で情報をやりとりする超長距離の「可視光通信実験」は、四隅に銀色のビーズを縫い付けて表現。銀糸の波線で電波交信を表した。 保育士だった早苗さんは「共働きで、夫の仕事は『何に役立つの』という感じで関心がなかった」。県内企業が部品を供給し、学生が組み立てたぎんれいプロジェクトを知り、壁掛けも作ったことで「夫の仕事を少しは理解できた」と話した。 2月28日にぎんれいの打ち上げが成功し、誠三さんは「中島さんや学生は頑張った。長野のものづくり精神もすごい」と感激した様子。壁掛けは中島特任教授に贈り、衛星と交信する機器がある工学部キャンパスの一室に飾られた。中島特任教授は「多くの人に支えられてうれしい」と感謝していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
心癒やす「がんサロン」常設に 信州がんセンター4月運用開始
県全体のがん医療の向上を目指す信州がんセンター(松本市)は4月、がん患者や家族が悩みや不安を語り合ったり相談したりする「がんサロン」(仮称)をセンター内に開設する。これまで信州大病院の研修室を借りて月1回開いていた「がん患者サロンひまわり」を常設化してリニューアル。交流スペースのほか、がん関連情報を閲覧できるパソコンも設置し、誰でも自由に利用できるようにする。 信大病院と渡り廊下でつながり、センターが入る県松本旭町庁舎3階に設ける。病院から廊下を渡り、センターに入って左側で、面積は約80平方メートル。現在は工事中で、4月1日に運用開始の予定。信大病院のがん相談支援センターの相談員らが交代で詰める。 患者や家族が語り合うスペース、さまざまながん情報誌が読めるコーナー、インターネットでがん情報を検索できるパソコン、相談員らに悩みや不安を個別相談できる個室などがある。がんに関するイベントや勉強会も開催する。 運用方法は患者の声を聞きながら決める方針。センター長の小泉知展・医学部包括的がん治療学講座教授は「ゆくゆくはがんを体験した『ピアサポーター』の協力も得たい。患者さんが少しでも心を癒やせる場になればいい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
「ワインで乾杯を」宮田で条例可決 村の特産「紫輝」消費拡大狙い
上伊那郡宮田村議会は3月定例会最終日の17日、「宮田村みやだワインで乾杯条例」案を可決した。ヤマブドウと赤ワイン用ブドウを交配した「ヤマソービニオン」で造る村特産ワイン「紫輝(しき)」の消費拡大が狙い。村とブドウ農家、ワイン製造者や販売者、消費者が一体となり、ワインで乾杯する習慣の定着を目指す。 ワインによる乾杯を促進する取り組みに村民の協力を求める条文などを盛った。提案した城倉栄治・産業文教委員長は「村民一人一人がワインの営業マンとなり、村外にもPRしてほしい」とする。 紫輝は1999年にブドウの栽培とワイン醸造が始まった。村内の農家や商工団体、村などでつくる「中央アルプス山ぶどうの里づくり推進会議」が特産化を進め、農家10軒ほどが栽培。村内の本坊酒造信州マルス蒸留所で醸造している。昨年は720ミリリットル瓶で6千本余を生産した。 毎年12月に新酒を味わうワイン祭りを開催。村はワイン文化を根付かせようと、ワインの特性や醸造法などを学ぶセミナーを2008年度に始め、修了者を「ワイン大使」に任命している。昨年12月には初の「ワインで乾杯宣言月間」を設け、飲食店など村内19店が紫輝を割安で提供した。(長野県、信濃毎日新聞社)
県が気候変動監視ネット発足へ 情報共有、対応策検討
温暖化やゲリラ豪雨、豪雪といった気象変動の影響を詳細に予測して対応策につなげるため、県は来年度、「気候変動モニタリングネットワーク(仮称)」を発足させる。県や気象庁、信州大(本部・松本市)などの関係機関が参加する見通し。各機関がそれぞれ保有する気象関連の情報を共有して分析していく。 17日に長野市内で準備会を開催。各機関の担当者が出席して、ネットワークの枠組みを確認した。今後、情報提供や共有の仕組みを詰める。 県温暖化対策課によると、現状では各機関がばらばらに保有している情報を、データベースなどの形で共有できないか検討。県環境保全研究所(長野市)が中心になって取りまとめる。共有情報や影響予測は「民間気象会社などに情報提供していくことも検討する」(温暖化対策課)としている。対応策を検討する別組織もつくる方針。 気候変動に関する県の取り組みは従来、二酸化炭素(CO2)排出削減など「緩和策」が中心だった。同課は「実際に気候変動が生じている現状では、『適応策』を見いだす必要がある」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
9月任期満了に伴う飯山市長選 現職の足立氏、出馬へ
9月14日に任期が満了するのに伴う飯山市長選で、現職の足立正則氏(62)=無所属、飯山=が再選を目指して立候補する意向を固めたことが17日、分かった。市議会3月定例会最終日の19日の本会議で正式表明する。 足立氏は飯山市出身。東京工業大を卒業後、市職員になり、総務部長や、副市長などを歴任。石田正人前市長の引退を受けて新人同士の一騎打ちとなった2010年の前回選で初当選した。足立氏は「JRと連携した広域観光や、移住・定住施策を進め、人口減少に歯止めをかけたい」と話している。 飯山市は15年3月に予定する北陸新幹線(長野経由)飯山駅開業を生かした活性化が最大の課題。市長選では、未活用の土地がある駅周辺の整備、観光振興や産業誘致の具体策が争点となりそうだ。 同市長選ではほかに、前回選で足立氏に敗れた新人で元総務省大臣官房審議官の江沢岸生氏(60)=無所属、照里=が、昨年8月に出馬表明している。(長野県、信濃毎日新聞社)
県内パイプハウス大雪被害 1万棟超87億円
県農協グループは17日、2月の大雪で被害を受けた県内の農業用パイプハウスは1万113棟(13日現在)となり、再建に必要な経費は87億7800万円に上ると発表した。県農協中央会の大槻憲雄会長は長野市内で同日開いた記者会見で「かつてない被害。いち早く通常の生産体制に戻れるように、総力を挙げて(支援に)取り組みたい」と話した。 2月7、8日と同14~16日に発生した雪害による被害を集計し、ハウス再建に要する経費を算出。県内20単位農協全ての管内で被害が確認された。 単位農協別の再建経費は、佐久浅間が33億3100万円(倒壊3764棟)で最多。信州うえだ8億4千万円(同816棟)、信州諏訪8億1500万円(同1314棟)、長野八ケ岳7億800万円(同510棟)、松本ハイランド4億3800万円(同690棟)と続いた。 県農協グループは17日、義援金約8千万円を用意し、ハウス再建費などの一部に充てるほか、農協職員がボランティアでハウス撤去を手伝う方針を示した。 県農政部が2月末に発表した2月14日からの大雪による県内の農業被害は計54億600万円。このうち、被害算定できた農業用パイプハウスなどの生産施設は7678棟で被害額は53億7千万円だった。県農政部はハウスの平均資材価格と被害面積を掛け合わせて被害額を計算。県農協グループは、人件費などを含めてハウスを再建するのに必要な価格を算出した。(長野県、信濃毎日新聞社)
県専門委「淫行条例は必要」 県民運動から規制へ転換促す
県の「子どもを性被害等から守る専門委員会」は17日、最終となる第7回会合を長野市内で開き、青少年との性行為を処罰する淫行処罰規定について「これまでの対策の延長では子どもを性被害から守りきれない」などとして条例化が必要とする報告書案をまとめた。今後、インターネット接続できる携帯電話の利用販売をめぐる規制など表現の一部を修正し、年度内にも阿部守一知事に提出する。 全国の都道府県で唯一、淫行処罰規定を盛った条例に頼らずに県民運動で青少年育成に取り組んできた長野県の方向転換を促す内容。県民の多くは規制よりも教育の充実による対応を求めており、そうした意見とは逆行している。処罰で抑え込む発想の条例をつくることになれば、長野県が誇ってきた地方自治の貴重な営みを否定することになりかねない。 報告書案では、どんな行為を処罰対象とするかを示す「構成要件」について「県民にとって分かりやすい明確な構成要件の記載」を求めるとし、結論を見送った。処罰対象となる性行為の相手を他県と同様に18歳未満とするか、女性が結婚できる16歳より下とするかも「慎重に十分検討をして決定されたい」とするにとどめるなど曖昧さを残した。 携帯電話の利用の在り方については、インターネット接続に伴う危険性を販売事業者が保護者に十分説明すること、有害サイトへの接続を制限する「フィルタリング」を解除する際に保護者が理由書を事業者に提出することなどを条例で義務付けるよう提示。大人が保護者の同意を得ず深夜に青少年を同行して外出することも禁止する必要があるとした。 性教育は学校で教える内容に学習指導要領の制限があるとし、外部講師の活用や社会教育の必要性を指摘。インターネットなどのメディア・リテラシー(読み解き能力)教育を進めるため、市町村などと連携して人材育成を実施するよう求めた。被害者支援の点では、被害直後から産婦人科医療やカウンセリング、捜査関連の支援を1カ所で提供する「性被害者支援ワンストップセンター」の設置を提言した。 専門委は、県から「子どもを性被害等から守る効果的、具体的な方策の検討」を依頼され昨年5月に発足。大学教授や弁護士、産婦人科医など有識者15人で議論してきた。(長野県、信濃毎日新聞社)
渡部暁斗選手が帰国会見 安堵と意欲「4年後へしっかり準備」
ノルディックスキー複合の渡部暁斗(北野建設)が18日、個人ノーマルヒルで銀メダルを獲得したソチ五輪の閉幕後、初めて成田空港に帰国した。今回の遠征は1月半ばに出国し、五輪を挟みワールドカップ(W杯)が続いた長丁場。渡部暁は五輪での達成感から安堵(あんど)の表情を見せ「体だけでなく、頭も最高に疲れている。ひとまず布団に入ってゆっくり寝たい」と語った。 W杯総合優勝を最大目標に据える渡部暁。五輪前に周囲の期待から金メダル宣言したことで「自分に重圧をかけ、本当に取れるのかという不安もあった」と明かした。五輪最初の試合で銀メダルを取り「金とは違ったが、一つのステップになった」と自己評価。複合20年ぶりのメダルに「強化の期間に加え、運も味方してくれた。4年後に対してもしっかり準備したい」と強調した。 W杯最終戦で2季ぶりの勝利を飾り「五輪後で皆が疲れている中で勝てた」と気持ち良く今季を締めくくれた。W杯個人総合は昨季に続き3位。一昨季の2位と合わせ、安定感が際立つ。来季の課題には「ジャンプの安定感」を挙げ、「五輪はたまたま。シーズンを通しては良くなかった。これで落ち着いて考え直すことができる。ジャンプの選手も参考にしたい」と意欲的だった。 県内に戻ってからは、あいさつ回りなどをしながら大型連休前まで休養を優先する。今春には弟の善斗(早大・白馬高出)も北野建設に加入。渡部暁は「頭も体もフレッシュな状態に戻し、来季もW杯総合優勝を狙いたい。(ジャンプ女子の高梨)沙羅ちゃんみたいに年間に何勝も挙げたい」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)