2014年度末の北陸新幹線金沢延伸や27年予定のリニア中央新幹線開業などをにらんだ県の新総合交通ビジョン(2013~27年)の原案が21日、県庁で開いた有識者委員会で示された。人口減や高齢化を見据え、身近な生活交通の確保を目指すことを最重視。東北信を走る新幹線、飯田下伊那に設置されるリニア中間駅の効果を高めるハード、ソフト両面の整備を提案したほか、県営松本空港(松本市)の国際化方針も示した。 原案では新たに、リニア中間駅を利用した時間短縮による経済効果を「年約110億円」と推計。中間駅の1日当たり乗降客数は「約6800人」とし、高速交通網整備で交流拡大を実現するとした。 バスや地域鉄道の将来を強く懸念。利用需要が小さい地域で予約制デマンド交通やタクシー補助券配布、NPOによる有償運送など、効率的で持続可能な運行形態への切り替えを市町村などと探るとした。経営が厳しく設備の維持修繕が困難な鉄道事業者には、沿線市町村などと積極的に財政支援する方針も盛った。 リニア関連では、道路整備や在来線拡充など、中南信が求める県内や山梨、岐阜両県の中間駅へのアクセス改善策を記載。国が設置する県や交通事業者らとの「検討の場」で協議される見通しだ。 千曲市が求めている同市への北陸新幹線新駅誘致は具体的には盛り込まなかった。県交通政策課は今月中に原案に対する意見を募る。(長野県、信濃毎日新聞社)
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