AIJ投資顧問(東京)による年金資産消失事件などの影響で財政難に陥った県建設業厚生年金基金(長野市)は18日、長野市内で代議員会を開き、加入企業のうち南信9社、北信2社が昨年9月に行った脱退申請を反対多数で否決した。終了後に記者会見した中川信幸理事長は、脱退を認めると、他の加入企業との公平性に問題が生じるとの考えを示した。 中川理事長は11社について、脱退時の負担金がAIJによる被害の穴埋め分を含む金額に切り替わり、負担が増える昨年10月1日以前に駆け込んだ申請だとし、公平性に疑問を示した。南信の申請企業の役員は「対策(申請)をした事実は、株主への説明責任を果たす手段になる。再申請などを視野に対応を検討する」としている。 同基金では、AIJ事件発覚以前にも諏訪郡原村の1社が脱退を申請。基金は認めなかったが、長野地裁は昨年8月に脱退を認める判決を出し、基金側は控訴した。 同基金はまた、信託銀行などに運用委託した年金資産約68億円が未公開株を扱うファンドに投資され多額の損失が出た問題で、今月上旬、資産の目減りを防ぐために委託資産の現金化を信託銀行などに求めたことを公表。金額が不十分な場合は損害賠償請求を検討するとした。(長野県、信濃毎日新聞社)
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