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円安、県内に影響じわり 海外旅行・輸入は今後懸念

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 昨年12月の政権交代後に進行した円安が、県民生活にも幅広く影響し始めている。円高の際に購入した米ドルを日本円に換金して利益を手にする人がいる一方、負担増に不安を感じるドル建て生命保険の契約者もいる。海外旅行商品や輸入品の値上がりはこれからと予想されているが、原油価格の高騰は利用者減に苦しむ銭湯などに二重の打撃となっている。  東京外国為替市場の円相場は今月12日に1ドル=94円台前半と、約2年9カ月ぶりの円安水準に到達=グラフ。当面、円安が続くとの期待も広がっている。  みずほ銀行長野支店(長野市)には、昨年末の安倍政権発足以降、外貨預金や手元に置いてあった米ドル紙幣などを円に換えたいという客が姿を見せ始めたという。同支店の担当者は「さらに円安が進むかどうか見定めている人も多い」とし、今後ドルを円に換えに来る人が増える可能性があるとの見方を示す。  これに対し、昨年9月にドル建てで保険料を払う米保険会社の生命保険に切り替えた長野市の女性会社員(37)は、憂鬱(ゆううつ)そうだ。毎月の保険料は206ドル14セントの契約。9月の保険料(手数料込み)は1万9656円だったが、円安が進んだことし1月は2万1302円と、1600円余りも増えた。「円安は輸出型産業に利益をもたらすが、一消費者にはきつい」と嘆いた。  県内の旅行代理店によると、現在販売されている旅行商品は円安が進む前に企画されたものが多く、値上げの兆しはまだない。ただ、ある代理店は「次の旅行プランを組む3月ごろ、多少値上げする可能性はある」とする。  信大教育学部4年の女子学生(22)は、3月にグアムへの卒業旅行を計画。旅費や宿泊費は既に支払い済みで急な円安の影響はないが、5万円ほどを見込む小遣いは目減りが避けられない。「旅行はやめないけれど、この時期に円安が重なるなんて…」とため息をついた。  輸入品の価格にも、まだ大きな影響は出ていないとされる。輸入ワインを販売する南信地方の会社は、円安の動向を見定めようと2月は仕入れを控えたが、在庫が減ったため3月販売分の輸入を再開する予定。販売価格は1割ほど上げる予定で「この程度なら客に理解してもらえるかもしれないが、2、3割の値上げとなると固定客も遠のくのでは」と心配している。  円安による輸入原油の高騰は、暖房が必要なハウス農家なども苦しめているが、すぐには料金に転嫁できない銭湯なども頭を抱えている。  冬期間は月に重油約2千リットル使うという長野市の銭湯は、昨年12月に比べてことし1月の燃料代が2万円ほど増えた。ただ、銭湯の入浴料金は県が上限(現在は大人380円)を定めており、急には上げられない。経営者の男性(69)は、営業時間の短縮も考えるというが、「お客さんにはできるだけ迷惑をかけたくないが、このまま燃料価格の高止まりが続くと死活問題」と危機感を募らせている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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