飯田市上飯田の風穴山(ふうけつざん)(2058メートル)一帯の自然を調べている下伊那郡高森町下市田の会社員、片桐一樹さん(32)が昨年12月、一年を通して解けない「越年氷」を標高1680メートル地点で確認した。今月17日に飯田市内で開かれる第17回伊那谷自然史発表会で報告する。2008年に調査を始めてから、09年12月に続く確認。一帯には冷気が吹き出る「風穴(ふうけつ)」が幾つも見つかっており、メカニズムを探るヒントにもなりそうだ。 風穴山は中央アルプス摺古木山(すりこぎやま)(2169メートル)の南東。越年氷は、明治から昭和前期にかけて蚕種を保存した小屋があった付近にあった。 片桐さんは昨年12月2日、花こう岩の岩が重なる隙間に幅約30センチ、奥行き約40センチの氷を確認。春から見続けてきた氷が、新たに氷が張る季節になっても残ったことから越年氷と判断した。 同じ場所で09年12月にも幅約50センチ、奥行き約70センチの大きさで確認。10、11年は12月までに解けて消えたという。 昨年秋は降水量が少なめで、09年と似た気候だったことから片桐さんは越年氷に期待していた。調査の及ばない場所にも越年氷があるのではないかとみている。 近くの標高1750メートル地点にある岩の隙間では、外気温が氷点下10度を下回っても、温度が5度前後までしか下がらない場所もある。この仕組みの調査も進めるという。 山の自然に引かれて立正大3年時に社会福祉学部から地球環境科学部に転部した片桐さん。これからも「山で驚きを見つけたい」と話す。(長野県、信濃毎日新聞社)
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