上伊那郡箕輪町は来年度、人工衛星を活用して町内産のコメの食味を判定する。衛星のセンサーが捉えた田んぼのデータから、コメに含まれるタンパク質の値などを調べる。既に取り組んでいる石川県羽咋(はくい)市に協力を求め、コメの品質向上を目指す。長野県農業技術課によると、県内で先例は把握していないという。 同市農林水産課の高野誠鮮(じょうせん)さん(57)によると、稲の葉が近赤外線、赤外線など目に見えない光を反射、吸収する度合いを調べると、植物の活性度を示す「植生指数」が分かる。同指数が高いと、コメの味を左右するタンパク質の値も高く、収量は増えるが「まずいコメ」になるという。 同市は米国の民間企業に依頼し、目に見えない光を検知するセンサーを搭載した人工衛星から、刈り取り前の田の画像や数値のデータを取得し解析。タンパク質、水分、農薬の影響などを基準にコメの食味を5段階に分類している。 箕輪町は、水系ごとに数カ所の田を選んで調査する予定。品質が高いコメが見つかれば、育て方を他の農家にも広める考えだ。町全体のコメの品質を高め、農家の所得向上を目指す。 町産業振興課によると、町内の稲作農家は、高齢化による離農などで2008年の1966戸から12年は1815戸に減少。このうち専業農家は約2割にとどまる。上伊那農協(伊那市)によると、町内から同農協への12年度の出荷量は1020トン余で、上伊那8市町村で5番目だった。(長野県、信濃毎日新聞社)
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