申し込んだ覚えのない健康食品などの購入を高齢者に迫る悪質な電話勧誘が県内で増えている。県消費生活室によると、県への相談件数は、本年度は1月末までで205件に上り前年度同期の5倍。商品を送る前に、電話で脅し文句を使って強引に購入を迫るケースもあり、断り切れずに代金を着払いで支払う人もいるという。同室は「申し込んだ覚えもなく、購入するつもりがなければきっぱり断って」と呼び掛けている。 同室によると、申し込んだ覚えがないのに健康食品の購入を迫る電話勧誘販売の相談件数は、2007年度29件、08年度56件、09年度58件。10、11年度はそれぞれ49件、50件だったが、本年度は急増した。代金を支払ってしまったとの相談は本年度は37件で、金額は2万~4万円ほどが多いという。 中信地方の70代女性は昨年10月、知らない業者から「夏に注文を受けた健康食品ができたので明日代引きで送る」と電話を受けた。「覚えがない」と何度断っても「あなたのために調合した」「1万円値引きする」と迫られて購入を了承。翌日荷物が届き、4万円近く支払ったという。 県飯田消費生活センター(飯田市)によると、事前の電話勧誘は電話番号が非通知の場合や業者名を尋ねても名乗らない場合がある。健康食品とされるものは、海産物やキノコ類から成分抽出したとされるサプリメント(栄養補助食品)などという。 同センターには「認知症の家族に代引きで健康食品が届いたが、本人は注文したか分からないと言っている」といった相談もあった。 同室によると、電話で断ったのに送り付けられた場合は、商品の受け取りを拒否すれば配達員が持ち帰る。受け取っても8日以内ならクーリングオフで売買契約を取り消せる。トラブルに巻き込まれた場合、県の消費生活センターなどにつながる消費者ホットライン(電話0570・064・370)への連絡を呼び掛けている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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