国特別天然記念物のコウノトリ1羽が13日、大町市平西原のハス池に飛来し、餌をついばむ姿が観察された。10年ほど前に水田をハス池に変え、ドジョウなどの小魚を放してきた新井文雄さん(88)は、「縁起物ですね」と幸せを運ぶ使者の訪れを静かに見守っている。 コウノトリの繁殖や野生復帰に取り組む兵庫県立コウノトリの郷公園(同県豊岡市)によると、長野県内で観察されたのは2010年夏の北安曇郡白馬村や安曇野市以来。右が黒と黒、左が黒、青、黄の足環(あしわ)から、同公園で放鳥された親鳥が豊岡市内で09年4月に産んだ雌とみられる。2月28日に福井県若狭町で確認され、3月1日以降は目撃情報がなかったという。 強風が吹き抜ける中、コウノトリは細長い脚で踏ん張りながら、しきりに泥の中にくちばしを突っ込み、小魚を器用についばんでは次々と丸のみに。ハス池には農薬をまかないため、小魚やカエル、トンボが多い。さまざまな野鳥が訪れるがコウノトリは初めてといい、新井さんは「えらい遠くから来てくれて。安心できるんでしょうかねぇ」と喜んでいた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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