飯田市議会は3月定例会最終日の22日、再生可能エネルギーを活用した持続可能な地域づくりへの取り組みを支援する条例案を可決した。地域住民らが主体になる発電事業を市が支援する仕組みを盛った他、再生可能エネルギー資源を地域住民の共有財産と捉え、これを活用する権利が住民にあるとする「地域環境権」を掲げた。市地球温暖化対策課によると、こうした条例の制定は全国で初めて。4月から施行する。 同課によると、地域主体の発電事業では、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を利用し、発電した電気を電力会社に販売。収入を地域振興に充てることで、持続可能な地域づくりにつながるよう期待している。 市は、太陽光や小水力、バイオマス(生物資源)といった地域にある再生可能エネルギー資源を地域の共有財産と捉える。同条例では、「地域環境権」を後押しする施策として、市は専門家による第三者機関(支援組織)を設置し、発電事業の公共性や資金計画などを審査、助言する。市が審査をすることで事業の信用力を高め、住民主体の事業でも金融機関などから融資を受けやすくする。市が設ける基金から、事業化への調査費を無利子で貸し出す。 市の審査を通じて事業の公共性も判断することで、高齢者の交通確保といった地域課題の解決に売電収益が使われるように促す。 市内では上村地区の住民有志が小水力発電事業の導入を研究しており、条例はこうした取り組みを支援する。 竹前雅夫課長は「再生可能エネルギーの事業体が地域に生まれ、収益が地域に還元されるようにしたい」と話す。(長野県、信濃毎日新聞社)
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