松代タクシー(長野市)は、本社屋上などに太陽光発電パネルを設置し、売電事業に参入した。従業員の収入を増やす狙いで、売電収入の一部を年1回、従業員に支給する。競争の激化でタクシー事業の大きな伸びが期待できない中、長期にわたり安定した収入が見込める再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に着目した。 本社と長野市内の営業所の屋根に太陽光パネル計100枚を設置し、昨年12月に売電を開始。さらに同市松代町清野にある安藤喜久雄社長の所有地にもパネル336枚を設置済みで、4月中に売電を始める予定だ。 最大出力は3カ所合わせて100キロワット余で、一般家庭30軒分余(年間12万3千キロワット時)を発電する予定。投資額は約5千万円。売電収入は年間600万円を見込んでおり、このうち減価償却費などを除いた金額を年1回、パートを含めた従業員約80人に通常の給与とは別に支払う。 同社の運行エリアが含まれる旧長野市などの長野交通圏は、国から事業者の売り上げ減少が著しい特定地域に指定されている。同交通圏では各社が減車を進めているが、目標台数に達せず、売り上げ回復につながっていない上、増車は基本的に認められないのが実情。安藤社長は「人件費がかからず、競争相手もいない売電は安定的。長く働いてくれている従業員に支給していきたい」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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