安曇野市豊科郷土博物館は2日、同市豊科田沢で見つかった約1300万年前に生物が活動した痕跡「生痕(せいこん)化石」のレプリカ(複製)の公開を始めた。生物がはった跡や巣穴がはっきりしており、研究者はいずれの痕跡も国内外の発見例で最大級という。海の底だった場所で実際に生物が生息していた証しとなる貴重な資料だ。5月6日まで同博物館で展示する。 レプリカは長さ最大3・2メートル、幅最大1メートルの露出した岩の表面をかたどった。回虫のような線虫類がはったと考えられる波形の跡や、カニなどの甲殻類が掘ったと推測される巣穴の跡が幾つも残っている。 この日は、長野市信州新町化石博物館の非常勤職員小池伯一さん(67)=松本市=と、生痕化石に詳しい高校教諭小幡喜一さん(57)=埼玉県秩父市=が解説。現地を調べた小池さんによると、生痕化石は2009年8月、松本市四賀地区に隣接する安曇野市豊科田沢大口沢(おおくちざわ)区の河川で、地質調査をしていた松本市の男性が見つけた。大水などで損傷する恐れがあり、小池さんらと調査した安曇野市教育委員会が型を取り、樹脂のレプリカを作って保存することに。約250万円かけて作った。 小幡さんによると、巣穴の直径は最大で約3センチで、国内外の発見例の2~5ミリに比べて大きい。生物がはった波形の跡は山と山の間隔が最大10センチ。これまで知られたものは5センチ程度だった。「海の栄養分が多く、生物の成長が良かったとみられる」と説明した。 同館は期間中、8、15、22日が休館。(長野県、信濃毎日新聞社)
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