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「中小支援を」「成長戦略示せ」 県内政府に注文

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 日銀が4日打ち出した新たな金融緩和策。長らくデフレに苦しんできた県内経済界には、踏み込んだ対応を評価する受け止めが目立った。ただ、足元の消費や設備投資を喚起する好循環が生まれるかについては慎重な見方も。金融政策にとどまらず、安倍首相が経済再生策の「三本の矢」に掲げる成長戦略の確実な実現を求める声も根強い。 ◇  「消費者の財布のひもが固い中、小売業界は消費を刺激しようと値下げ合戦をしてきたが限度はある。デフレを脱却し、経済が上向いてくれれば」。綿半ホームエイド(長野市)の下島憲秋社長は金融緩和策を歓迎し、「企業が利益を上げ、家計の所得改善につながるよう、日本経済の復活まで続けてほしい」と求めた。  2%の物価上昇を2年程度で達成すると目標を明示したことに、県商工会議所連合会の加藤久雄会長は「政府と日銀の息が合わなければ進まない。一致した目標を出したことは大きい」。松本信用金庫(松本市)の田中鈴生理事長は「後戻りすることなく強力に前に進めてほしい。成長分野への資金供給でバックアップしたい」と話す。  円高に苦しんできた輸出系製造業。セイコーエプソン(諏訪市)の碓井稔社長は「国内景気の下振れリスクの緩和と、減速する世界経済にも好影響を与え、株式市場や為替水準が改善されることを期待している」とした。  長く需要が低迷し、地方経済は疲弊してきた。喜久水酒造(飯田市)の浜島光男社長は「中小企業では賃金が上がる気配もない。金融緩和だけで改善するとは考えにくい」。天竜精機(駒ケ根市)の芦部喜一社長も「製造業もすぐには設備投資などに動けないのではないか」とみる。  長野ダイハツ販売(松本市)の須田邦雄社長は、景気低迷で個人や法人の自動車買い控えが多いとし、「資金供給を雇用に結び付けることが不可欠。効果が地方の中小企業に及ぶか」と疑問視。県中小企業家同友会の関野友憲代表理事も「中小にどの程度の好影響が出るかは不透明。政府にはより踏み込んだ中小企業支援策が求められる」とする。  金融機関では貸し出し需要が低迷。安倍政権は金融緩和、財政出動、成長戦略を「三本の矢」として経済再生を目指すが、県経営者協会の山浦愛幸会長(八十二銀行頭取)は「いくら金をばらまいても、成長戦略をしっかり定めなければ、資金需要は出てこない」と指摘する。長野信用金庫(長野市)の原徹爾理事長も「設備投資を喚起するには、金融政策だけではなく、早く『第三の矢』を打ち出す必要がある」とした。  多摩川精機(飯田市)の萩本範文社長は「輸出が増え、収益が改善すれば国内投資を考える経営者は多いだろう。その前提は一定の円安水準での長期的な為替安定だ」と強調。「政府は次世代産業育成だけではなく、『既存産業も頑張れ』というメッセージを示してほしい」と注文した。(長野県、信濃毎日新聞社)


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