5日午前8時すぎ、上田市中野の上田電鉄別所線舞田(まいた)―中野間にある「和手(わて)農道1号踏切」で、トラックが別所温泉発上田行き普通列車(2両編成)の先頭と衝突した。トラックは列車に約40メートル引きずられて大破。上田署によるとトラックを運転していた同市上田の会社員柴山弘さん(49)と助手席にいた同市中央3の会社員依田知明さん(29)の2人が市内の病院に運ばれ、ともに体を強く打つなどし、重傷のもよう。列車に乗っていた通勤、通学中などの乗客8人と運転士1人にけがはなかった。 同踏切は中野駅の西側約300メートルにあり、警報機と遮断機がない。同署によると、トラックは線路の南側を並んで走る市道を、列車と同方向に西から東へ走り、左折して踏切に入った。左側から来た列車と衝突して引きずられ、荷台に積んでいた重機は途中で線路脇へ落ちた。上田電鉄によると、トラックが突然進入してきたため、ブレーキをかけたが間に合わなかったという。 事故の影響で、別所線は別所温泉―下之郷間で復旧の見通しが立っていない。列車の乗客は同社が用意したタクシーに乗り換え、同区間はその後、バス2台を代替運行している。下之郷―上田間は列車を折り返し運転している。 トラックの男性2人は上田市内の設備工事会社に勤務。同社によると、2人は舞田駅近くの同社倉庫で重機を積み、水道管の工事の現場に向かう途中だった。踏切の北側に住む中村ひさいさん(82)は事故を目撃。「こたつに入って踏切の方を眺めていたら、電車の先頭とトラックがぶつかって、心臓が止まりそうだった」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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